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トンニャン過去編#86 トンニャン・フェニックス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ニコラスの巻」の次。「トンニャンの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

ミセス・ボニー・ガンは、一年前トンニャンが予言したとおり、二人目の子供、男の子を出産した。名前はジェイムスと名づけられた。
 
「ミスター・ガンの赤ちゃん、可愛かったね」
トーニはお祝いに行った時の事を言っている。
「すぐ次の年に子供が生まれるなんて、仲がいいんだわ」
アンが赤ちゃんの感触を思い出すように、手の平を広げてみる。
「しかも、今回は男の子。ジェイムス、よね?」
「そう、上が女の子だったから、嬉しいわよね」
「いつか、私達も・・・」
トーニは、言いかけてちょっと顔を赤らめた。
「何?トーニったら、トムとの事、考えてるの?まだ早いわよ。シックスフォームの次は、大学も考えてるんでしょ?」
「そう・・・だけど」
大人の階段を登り始めたトーニとアン。青春の日々はまだまだ続いてゆく。
 
 
卒業式まであと一ヶ月と迫ったある日、コーラの元に魔界から手紙が届いた。差出人は悪魔皇太子リオール。
「トンニャン、チェリー、見て!」
コーラは嬉しそうに手紙を広げた。
「魔女コーラを悪魔に昇進させる。すごいじゃない、コーラ。それに、その後、正式にリオールと婚約するのね?」
チェリーは手放しで喜んでくれた。
「おめでとう、コーラ。これで一人前ね。」
トンニャンも、微笑んだ。
「ありがとう。私がここまで来れたのも、二人のおかげよ。」
コーラはふと涙ぐんだ。チェリーはそんなコーラをしっかりと抱きとめた。

トンニャンは、この不思議な光景を眺めている。上級天使と悪魔が抱き合っている姿など、まず見られるものではない。しかも、二人の心は固い友情で結ばれている。二人がそれぞれの世界に帰った時、相対する事など全く忘れているのだ。だが、トンニャンは、そんなチェリーとコーラの、どちらも愛おしかった。
 
 
 
「チェリー、頼まれていた事は全部済ませたよ」
「ありがとう」
「礼を言われるまでもないよ。きみが言っていた美しい恋人達は、結ばれると決まっていたからね。僕の仕事は、彼らが幸せになれるか見極め、矢を射る事。幸せになれる相手だと思ったから、自分の仕事をしたまで、だよ」
 
 
 
チェリーは思い残す事はない、と感じていた。いずれボビー・グレープとエミリー・パスト、ビリー・グレープとエレン・ピース、フィリップス・セザールとルーシー・エイビス、ピエール・オーギュスタンとアリス・ジョージャス、そして、トム・クワイエットとトーニ・バロン、ネッド・グラウンドとアン・バスカントが結ばれ、それぞれの家庭を作り、幸福をつかむだろう。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#86 トンニャン・フェニックス(原題「ファイヤーバード」)

※説明不足ですねぇ。矢を射たのは、もちろんチェリーの婚約者クビドです。何千年後の未来(20年以上の後に書いた)トンニャンシリーズでは、既に結婚しています。
「愛の天使 クビド」こちらから

https://note.com/mizukiasuka/n/nf3e2c582b38c?magazine_key=mf04f309d9dfc


【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
※Amazon、書籍は入荷したようです。他の通販も、書店も、または電子書籍もあります※

次回トンニャン過去編#87 トンニャン・フェニックスへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n22bcdc935bb0

前回トンニャン過去編#85 ニコラス・ボニファキウスはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n79d874d3fa0f

■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

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