トンニャン過去編#85 ニコラス・ボニファキウス(原題「ファイヤーバード」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ピエールの巻」の次。「ニコラスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
時を経ずしてチェリーが現れた時、トンニャンはもう少女に戻っていた。
「トンニャン、コーラに何か?」
トンニャンは首を振った。
「自分で聞いてみるのね」
「そう・・・コーラ、決心したのね。未来の悪魔皇太子妃になる事を」
「選択の余地無しだったけどね」
コーラはペロリと舌を出した。思いのほか明るい。
「リオールに甘えてみようと思う。私が生きる道は、これしか無いんだと気づいたの」
コーラは言葉を切ると、ため息をついた。
「忘れられるかどうかは・・・わからないけれど。」
チェリーはふっと微笑んだ。
「無理に忘れる事なんてないわ。初恋・・・ですものね」
チェリーの言葉に、コーラもニッコリと笑った。
あれからニコラスとヘスターは、またヨリを戻したようだ。もちろん、ニコラスは、悪魔などにこるのをやめた。
「ね、コーラ。前に紹介した、ピエールの従兄弟のニコラス・ボニファキウス、覚えてる?」
ある日、トムがこんな事をコーラに言ってきた。
「えぇ、覚えてるわ。それがどうかした?」
「いや・・・ニコラスがコーラの事を知らないって言ってるらしい。確かに紹介したのに、全く覚えてないって」
トムが困ったように言うので、コーラは半分吹き出した。
「別にそれならそれでいいじゃないの」
「だって、おかしいじゃないか。紹介してほしいって言ったのは、ニコラスの方だぜ」
コーラはトムの肩をポンと叩いた。
「トム、人の事気にするより、トーニの事でも考えたら?ほっとくと、浮気するかもね」
「お・・・おい、おどかすなよ。コーラも人が悪いなぁ」
コーラが笑うとトムも吹き出して、二人は声を上げて笑った。
「コーラ、元気になったね。ここのところ沈んでるようだったから、心配してたんだ。良かった」
別れ際にトムは、再びコーラに笑いかけた。
「コーラは、笑ってる方が、かわいいよ」
「トム・・」
コーラはトムの優しさにふれて、この人間界に来てからの事を、思い出していた。
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四月に入るとボビー・グレープが大学進学を決め、ビリー・グレープ、エミリー・パスト、フィリップス・セザールは、秋からシックスフォームの二年生だ。
アリス・ジョージャス、ピエール・オーギュスタン、エレン・ピース、ルーシー・エイビス、トム・クワイエット、トーニ・バロン、ネッド・グラウンド、アン・バスカントは、皆シックスフォームへの進学を決めた。
二〇〇七年平成十九年九月十五日(土)朝四時(原文一九七七年八月)
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#85 ニコラス・ボニファキウス(原題「ファイヤーバード」)
※コーラとルシファー、コーラとリオールのことは、この後、何千年も先の未来のトンニャンシリーズの中で、大きな影を落とします。
トンニャンシリーズ「悪魔皇女サ―ティ」問題のシーンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n5fcb977e08a6?magazine_key=mf04f309d9dfc
【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
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次回トンニャン過去編#86 トンニャン・フェニックスへ続く
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前回トンニャン過去編#84 ニコラス・ボニファキウスはこちらから
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■トンニャン過去編#1最初から
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※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
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