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トンニャン過去編#84 ニコラス・ボニファキウス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ピエールの巻」の次。「ニコラスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

コーラは涙で枯れた声を必死に張り上げた。
「リオール様の・・・つ・・・妻に・・・なります」
ルシファーは深くうなずいた。
「リオール、コーラを頼む」
ルシファーはまたつむじ風と共に消えた。
 
リオールはほっと息をつくと、コーラを哀しげに見た。
「そんなに父上を愛しているのかい?」
コーラは偽りの気持ちで「妻になる」と言った自分が恥ずかしくなり、顔を伏せた。
「いいんだよ、コーラ。父上は俺から見ても、全てが完璧で、そして美しい」

リオールはまた腰を落とし、コーラも隣に並んで座った。
「俺は父上に似ているかい?」
コーラはリオールの横顔を見た。彼もまた、ルシファーに勝るとも劣らない美しい悪魔だ。兄妹の中でも、この長男である悪魔皇太子リオールが、一番色濃く、ルシファーの血を受け継いでいるのだろう。
「そっくりです」
「ふふっ・・・そっくりか。じゃあ、俺を父上だと思ってくれよ」
「え?」
「忘れろ、なんて言わないよ。ただ、コーラと一緒にいられるだけでいい」

リオールがまたコーラの唇にふれようと顔を近づけてきた。その瞬間、コーラは思い切ってリオールの胸に飛び込んだ。リオールはコーラを抱いたまま、コロコロ転がった。そしてそれが止まった時、二人はしっかりと抱き合い、唇は固く重ねられていた。
しばらくすると、リオールはゆっくりと顔を上げた。
「本当に俺の妻になってくれるんだね」
「はい」
コーラはハッキリと答えた。リオールの妻となる、その決心を固めた瞬間だった。
 
「あの・・・リオール様、ひとつだけお願いがあります」
身体を離したコーラは、改まってリオールを見つめた。
「コーラ、その『様』っていうの、やめてくれよ。リオールでいいよ。そう呼んだら、願いを聞いてやるよ」
コーラは戸惑いを隠せないまま、うつむいた。
「リ・・・リオール・・・。あの、私、この学校を卒業するまで人間界にいたいの。」
やっとの思いで、搾り出す。
「いいよ。あと三ヶ月だろう。好きな事おやり」
リオールは、優しい瞳で微笑みかける。
「じゃ、俺、魔界に帰るよ。待ってるよ、コーラ」

 **********
 
「そう・・・リオールとコーラが。」
 
「トンニャン、これで良かったと思うか?」
 
「さあ、良いも悪いも、お互い納得しあった事だろう。なるべくしてなった。そうではないか、ルシファー」
 
「・・・トンニャン、また会おう。コーラをよろしく」

*************
続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#84 ニコラス・ボニファキウス(原題「ファイヤーバード」)

※いやいや、これには私も騙されたわ。まさかねぇ。
トンニャンシリーズ「魔女裁判長リリス」ルシファーのシーンはこちらから

https://note.com/mizukiasuka/n/n3dc47a12c097?magazine_key=mf04f309d9dfc

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
※Amazon、書籍は入荷したようです。他の通販も、書店も、または電子書籍もあります※

次回トンニャン過去編#85 ニコラス・ボニファキウス へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n79d874d3fa0f

前回トンニャン過去編#83 ニコラス・ボニファキウスはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nfb5ce44cbdd6

■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024
 
 
 

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