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トンニャン過去編#34 エミリー・パスト(原題「天使チェリー」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「お~い!エミリー!トーニ!」
遠くでかすかに声が聞こえた。
「トーニ!エミリー!」
確かに聞こえる。
「ここよ。トーニと私はここよ!」
エミリーは声を限りに叫んだ。
 
「ミスター・ガン、どうもこの下らしいですね」
ミスター・ガンは下を覗きこんだ。その時、身体をのめりすぎてバランスを崩した。
「ミスター・ガン!!」
ミスター・ガンを助けようとしたボビーも、一緒に落ちてしまった。
「ボビー!」
エミリーはボビーを助け起こした。
「おいおい、俺は助けてくれないのかよ」
ミスター・ガンが起き上がろうとすると、肩に激痛が走った。
「く・・・肩をやられたな。ボビー、おまえは大丈夫か?」
「はい、足を・・。折れたかどうかはわかりませんが」
エミリーは二人を気遣う間もなく叫んだ。
「トーニが大変なの。弱ってるのよ。助けてあげて!」
 
ボビーが上にいる者に声をかけてロープをおろしてもらった。
最初に弱っているトーニが、そして、ボビー、ミスター・ガン、エミリーの順だ。
ミスター・ガンとボビーが、自分が最後でいいと言ったが、無傷なのは自分だけだと、エミリーががんとして譲らなかったのだ。
 
トーニが引き上げられると、目の前にトムがいた。トーニは思わずトムの胸に飛び込んだ。
「トーニ、良かった。本当に良かった」
「トム・・・」
そして次々、助けられていった。
 
 
ボビーとミスター・ガンの怪我は思いのほか軽く、念のため入院を余儀なくされたが、二~三日で退院できそうだ。
「ボビーの怪我はどうだったの?」
「結局骨折してたんだ。本来入院するほどじゃ無いんだが、状況が状況だったからね。エミリーが毎日付きっ切りで看病してるよ。
あ、ミスター・ガンも同じような感じ。ミス・ザートが朝から晩まで、付いてるらしい」
「そう、たいした事なくて良かったわ」
 
ビリーに、ボビーとミスター・ガンの怪我の様子を聞いた後、チェリーはトーニに呼び出された。トーニは気を失いかけていたわりには元気で、入院することもなかった。
「チェリー、聞きたい事があるの。チェリーはボビーとビリー、どちらが好きなの?」
「どっちも好きだけど」
「それじゃあ答えにならないわ。今一人の女の子がボビーを好きなの。とても苦しんでいる。彼女は・・・」

「待って、トーニ。私の好きは、友達としての好きよ」
「じゃあ、彼女がボビーを好きでもかまわないのね?」
「もちろんよ。それに、私、ずっと前から好きな人がいるし」
「え?それって、私達の知ってる人?」
チェリーは頬を赤らめながら首を振った。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#33 エミリー・パスト(原題「天使チェリー」)

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
今回は1970年代に描いた、トンニャン過去編「ボビー・グレープ」の続きです。

【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】


※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

次回トンニャン過去編#35 エミリー・パストへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n2eb6f161c773

前回トンニャン過去編#33 エミリーパストこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n79654d64e0a1

トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

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