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第5話 謎の甲板週番(2/6)

 翌日、学生隊本部に出勤し当直学生等々の指示伝達、その他学生の指導を終えた後、机を横に並べている赤鬼に問いました。

 「甲板週番A正の学生はどんな奴なんだ。存在感がなくて今まで全く気が付いていなかったがなかなか面白いやつだと思うんだが。」

 すると赤鬼は一瞬、パソコンのキーボードの手を止めてディスプレイを見たまま言いました。

 「お前もそう思うか。正直、あいつが甲板週番Aにつくまで全く気にもしていなかった。あいつは要領もいいし、指摘されたことはすぐに直してくる。船乗りに向いているんだろうな。しかし、もうすぐあいつも週番学生が交代になるがいまだに本音が見えない。表情を変えないだろう。どんな指導をしていいのか俺も迷い続けているうちに一週間が経ちそうだよ」

 私にとって赤鬼の回答はまさに私が考えていたことと同じでした。

 次の日の朝、彼は赤鬼の前で週番学生交代の申告をして週番室を去りました。

 その後しばらく、私は彼の存在をまたしても忘れてしまったのです。しかし、秋の陸上戦闘訓練で再び彼の名前が私の記憶に刻まれることになりました。


第5話 謎の甲板週番(3/6)につづく

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