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”愛を、感じてほしい。“

by FINAL FANTASY Ⅷ

このキャッチコピーを知ったのはプレイ当時よりもずっと後のことだった。

当時小学校6年生くらいの私はゲーム好きな親や兄の影響で、長期休みといえばゲームばかりしていた。このFFⅧはまだまだ何も分かっていないそんな引きこもり少女に夢を与え、無垢な心に確かに、愛を感じさせたのである。

(ちなみに小学5年生くらいの時に本作より前にFFⅦをプレイしており、後々Ⅹをもプレイするわけだが、どちらもFFの中で一二を争う人気作品なことを差し置いて、私はⅧが一番好きだ。)

簡単なストーリーとしては、兵士を養成する学園が舞台、人と関わることを避ける一匹狼のエリートイケメンが任務の中ひとりの明るい美少女と出会い、人類を守るべく魔女と呼ばれる敵を倒すという感じ。

だいぶ端折ってはいるが、実際当時小6の自分はこの程度しか内容を理解していなかったと思う。(中2のときやり直してやっとしっかり内容を理解した気がする)

それでもクールで強いイケメンの主人公に、空飛ぶ未来的な学園、親元から離れた宿舎生活、謎の魔女、そして色鮮やかで美しいフィールドたち、言葉的にも視覚的にも、純粋な少女に夢を見させるには充分な世界観だった。

(ちなみに先にプレイしていたFFⅦは全体的に暗い作品であり、上記があまり無かったため小5時点では響かず。中3再プレイ時に内容の素晴らしさを知ります)


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とくにこちらのフィールド「約束の場所」

もともとこういう景色が大好きだったような気もするし、このゲームがきっかけで大好きになったような気もする。よく覚えていないが、とにかく現時点で、自分の頭で想像しうるロマンティックな場所ランキングNo.1はここである。どこまでも咲く色とりどりの花、透き通る初夏の青い空に白い絵の具を滲ませたような雲。美しいけれど人工的な跡はなく、そこには自分たち以外誰もいない。こんなありそうでない奇跡のような場所を現実に見つけ、大切な誰かと訪れるために今生きていると言っても過言ではない。

そして、愛を知る物語に少女はのめり込む。

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複雑なストーリーは分かっていなかったが、鬱陶しいほどの無垢な愛が人と関わることを避けていた主人公を変えた。それだけは分かった。

この愛の主、ヒロインのリノアが私は大好きである。

このキャラクターは明るく可愛いがアホみたいな迷言も多く、うざがられるイタい性格をしていて評判はあまり良くないらしいと後で知った。でも私は好きだった。そもそも小6女子なんて全員イタい性格をしているのである。全然どうでも良いが艶のある長い黒髪と眉毛の形が自分にちょっと似ていて、当時大好きだったカラーである水色の服を着ていた。それだけでもう充分自分を投影し、大好きになれたわけだ。

ちなみに今でもFFで1番好きなキャラである。

つまるところ話の細かいところやゲームのシステムなんて小6女子にはどうでもよかったのだ。なんとかギリギリでクリアして、やり込みはもう少し大人になったらやれば良かったわけだ。あの世界観に、人格形成時に触れたことが自分史における大きな事柄だった。漫画やアニメとも違う、ドラマや映画とも違う、絶妙にリアルでリアルじゃないあの世界観に魅入られてしまったことで、この美しい世界に夢見がちな性格はしっかりと塗り固められてしまった。

即ち、完全に愛を感じてしまった故である。


いま、多少はこの世界を見ているつもりで

人並みに現実で恋も旅もしてきたけれど

それでもまだまだ、探すことをやめられない。

空飛ぶ学園は難しくても、美しい花畑や、未来的な建築物、鬱陶しいほどの愛を与える誰かを。


愛してる!FFⅧ!

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