なぜ義務教育で学ぶのか
こんにちは,HARuです。今日は「義務教育の意味を私なりに考えてみました」というお話。
「子どもは義務教育を受ける義務があるんでしょ?」
「義務教育で学ぶことなんて社会に出て使わないのに学ぶ必要あるの?」
といったご意見を聞くことがあります。
今回は「義務教育の意味」や「なぜ義務教育があるのか」について私なりに考えてみたことをまとめてみました。
ちょっと長くなってしまいました💦
すみません🙇♂️
では,いってみましょう!
義務教育とは
そもそも義務教育とはどういったことかご存知ですか?
日本には教育基本法という法律があります。その法律によると
第4条 (義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。 (教育基本法第4条)
となっています。
実は子どもたちは義務教育を受ける義務があるわけではありません。
義務教育の「義務」は保護者が子どもに教育を受けさせる「義務」があるという意味の「義務」なのです。
子どもたちは義務教育を受ける「権利」があるのです。
(中学校の社会科で習う範囲でしたね💦)
ちなみに,年齢についても指定があり
保護者は、子女を満6才から満12才まで小学校に、その修了後満15才まで中学校に就学させる義務を負う。(教育基本法第22条)
小学校は6年、中学校は3年(教育基本法第19条)
といった細かい内容も実は法律により決定されているのです。
義務教育の目的
ちなみ,義務教育の目的について文部科学省は以下のように述べています。
義務教育は,国民が共通に身に付けるべき公教育の基礎的部分を,だれもが等しく享受し得るように制度的に保障するものである。
(中略)
義務教育の目的については,次の2点を中心にとらえることができるものと考える。
1 国家・社会の形成者として共通に求められる最低限の基盤的な資質の育成
2 国民の教育を受ける権利の最小限の社会的保障
義務教育を通じて,共通の言語,文化,規範意識など,社会を構成する一人一人に不可欠な基礎的な資質を身に付けさせることにより,社会は初めて統合された国民国家として存在し得る。このように,義務教育は国家・社会の要請に基づいて国家・社会の形成者としての国民を育成するという側面を持っている。
また,一方で,義務教育には,憲法の規定する個々の国民の教育を受ける権利を保障する観点から,個人の個性や能力を伸ばし,人格を高めるという側面がある。子どもたちを様々な分野の学習に触れさせることにより,それぞれの可能性を開花させるチャンスを与えることも義務教育の大きな役割の一つであり,義務教育の目的を考える際には,両者のバランスを考慮する必要がある。
すごくシンプルに言うと,
生きる上で最低限の知識を学ぶ
ということです。
学校教育でよく言われる「生きる力」を育むというものですね。
それ以外にも義務教育を学ぶ意味については詳しく記載があるのですが,今回は割愛します。ご興味がある方はコチラのリンクから,文部科学省のページへいってみてください。
なぜ義務教育があるのか
最近の社会の風潮や教育界の風潮(一部)は「好きなことをトコトン学ぶ」となっています。
では,なぜ義務教育が必要なのでしょうか?
私たちよりももっともっと優秀な文部科学省の方々が無駄なことをやらせているとも思えません。
そこで,私なりになぜ義務教育で学んでいるのかを考えてみました。
結論は
・知識がいつ役に立つかわからないから
・知識は自分を守る盾になるから
・新しいアイデアのためには知識が必要だから
という3つに至りました。
それぞれ詳しくお話します。
・知識がいつ役に立つかわからないから
学校現場にいると,子どもたちからよく聞く言葉が
「こんなの勉強して,将来なんの役に立つんですか?」
というものです。
おそらく教員の方なら一度は必ず聞いたことがあるのではないでしょうか。
そうでない方も,ご自身が思ったことがあったり,友達が言っていたり,同じような話は耳にしたことがある方が多いのではないかと思います。
何を隠そう私自身もそう思っていました😅
例えば
「将来建築家になりたい。」という子どもから
「何のために歴史を学ぶんですか?その時間にもっと数学や建築の勉強をしたいです。」と言われたらどうしますか?
きっと私なら
「歴史を知るということは,建築物の背景を知るということ。その建築物がどんな目的で建てられたのか,またはどんな時代背景からそのような建築構造が多くなっているのかを知ることは,今後,自分が新しい建築を考える上で大切なことだと思うよ?」
と伝えます。これがいいか悪いかは別にして,一つのことを極める大切さと同じくらい必要最低限の知識は大事だと思います。
・知識は自分を守る盾になるから
知識が無ければ,人に騙されているかどうかすら判断ができません。
マンガ「ドラゴン桜」において登場する桜木という弁護士が荒れた高校の学生たちに語ったセリフがあります。それが
「お前ら一生負け続けるな。
いいか?負けるってのはな、騙されるっていう意味だ。
お前らこのままだと一生騙され続けるぞ!
社会にはルールがある。その上で生きていかなきゃならない!
だかな、そのルールってやつは、全て頭の良い奴が作ってる。
それはつまりどういうことか。
そのルールは全て頭の良いやつに都合の良いように作られているってことだ!
逆に都合の悪いところは分からないように上手く隠してある。
だが、ルールに従う者の中でも賢いやつは、そのルールを上手く利用する!
(以下略)」
というものです。このマンガのコンセプトが東大入学を目指すというものなので,この後,「だからお前ら東大に行け!」とつながるのですが,それはおいておいて。
実際,この話は納得感があります。
世の中にはいろいろな人がいます。騙されるというのは知識が不足していることが大きく起因していると私は思います。
最低限の知識を身につけること。つまり,義務教育で学ぶ内容を理解しておくことは,人生を生きる上であなたを守ってくれると考えています。
・新しいアイデアのためには知識が必要だから
先日,子どもたちが「今夜はナゾトレ」の本を読んでいました。
問題の記載は出来ないのですが,子どもたちが悩んでいた問題は,言葉を知らなければ(語彙力が無ければ)解けない問題でした。
つまり,一見するとひらめきが必要なことにも「基礎学力」は必要だということなのです。
少なくとも私自身はそのように感じました。
新しいアイデアをひらめくためには,先日書いたように「組み合わせる力」が必要になります。何かと何かを組み合わせるには,土台となる知識が必要なのです。
義務教育に対して思うこと
現在の義務教育の教育手法に対して思うことはたくさんあります。
一斉授業の必要性や宿題の意義など手法には疑問点もあるにはあるのですが,それでも
「生きる上で必要最低限の知識を学ぶ機関」
としての学校はそれなりに優れたシステムなのだろうなと改めて思います。
ただし,子どもたちには「学習の目的」は必ず伝えなければならないと思っています。
有名なイソップ寓話に「3人のレンガ職人の話」というものがあります。
世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、
一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。
旅人はその男のそばに立ち止まって、
「ここでいったい何をしているのですか?」
と尋ねた。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。
朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。
あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、
風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。
腰は痛くなるし、手はこのとおり」
男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。
「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、
まったくついてないね。
もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。
もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。
先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。
旅人は尋ねた。
「ここでいったい何をしているのですか?」
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」
「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。
ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。
俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べて
いくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ。」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。
また、もう少し歩くと、
別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。
「ここでいったい何をしているのですか?」
旅人は興味深く尋ねた。
「ああ、俺達のことかい?
俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」
「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!
素晴らしいだろう!」
旅人は、その男にお礼の言葉を残して、
また元気いっぱいに歩き続けた。
簡単にいうと,
それぞれがレンガ積みをしている目的は
一番目の職人→目的もなくしている。
二番目の職人→お金のためにしている。
三番目の職人→世の中のためにしている。
というものです。
やはり,この話からも目的意識があると無いとでは大きな差が出るということがわかります。
子どもたちに話をするときに,自分自身が納得する学ぶ目的を伝え,共に学んでいきたいものですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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