伝えたいと表現したいと分かって欲しいの狭間。
下書きのまま一向に完成しない文章を、一気に削除した。数えてみたら全部で20近くもあったのには驚いた。
「未完成でも出すことが、書けるようになる第一歩」とあちらこちらで聞いているのに、いざ実行しようとすると出来ないのはなんでだろう。
感じている事は沢山あっても「伝えたい」にまでなっていないのだろうな。
削除する下書きの文章を流し読みしながら、そう自分を分析する。「早く書けるようになるコツは、伝えたいメッセージを決めてから書き出す事」というアドバイスもそういえば貰った事があったっけ。
書きかけの文章には、テーマはあるけどメッセージは無かった。無かったと言うより、メッセージになるほど自分の中で想いが固まっていなかった。そういう事なのだろう。
伝えたいのか、表現したいのか、それとも分かって欲しいのか。その溝にどうやら落ちたようだ。
起業コンサルで教わった「集客のための文章」を書くのは苦しかった。講師に言われた通りの文章を書いているうちに、集客する事そのものが嫌になった。テンプレ通りに商売向けの文章を書く。これは圧倒的に自分に合わない事だけがよく分かった。
それでnoteを始めた。
ただ、自分の内側でふつふつしている想いとか、未消化の過去の記憶を、文章にして誰かに読んでもらいたかった。たとえ思ったほどの人数には届かないとしても、自分の指先から文字が生み出されて、一つの文章になる事自体が心地よかった。
けれどそこに「伝えたい」メッセージなんて無いよなあ。そう思う。
── 私はこんな時に悲しくなる。
── 私はこういう文章を読むと、どういう訳かイラっとする。
── そうじゃないよね、違うよね。人生ってこういう事だよね。
── こんな事が幸せだと思ったんだ。
削除された下書きに籠っていた思いたち。
これは「伝えたい」なのだろうか。
「分かって欲しい」なのだろうか。
ただ「表現したい」なのだろうか。
うんうん唸りながら私は、今日も下書きを閉じたり開いたりしている。
ああ、答えはまだ出ない。
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