人はなぜミスをするのか

生きてきて一度もミスをしたことがない人などおそらくいないでしょう、
大小、実際の影響などに差はあれど人為的なミスは必ず起こるもの。

ですから人はなぜミスをするのか知っておけば無くすことはできずとも、
ミスによる負の影響を軽減できるでしょう。

とは言え、ミスはその時々様々な要因で起こるものですから、
これだという原因をあげることは難しい。

ですが人が起こすミスである以上、人だから共通する要因があると考える、
人としての基本性質にミスを紐解くヒントがある。

よくお話するのですが人には意識と無意識、2つの思考領域がある、
意識は能動的に複雑な物事を処理することを可能とします。

対して無意識は過去の蓄積から物事をパターン化しシステムを確立する、
確立されたシステムを基準として物事に対処する。

とは言え意識は無意識ほど持続力がなく故に影響力もない、
大抵の場合は無意識のシステムが無自覚に物事を処理していく。

意識は無意識が処理した物事を後で振り返って精査し時に軌道修正する、
もちろんやろうと思えば1から無意識にシステムを構築することもできる。

つまり人はまず無意識に物事を処理するためのシステムを形作りながら、
意識を用いて能動的に舵取りを行うように思考する基本性質を持つのです。

問題なのは現実はパターン化されたシステムによって、
完璧に対応しきれるほど単純ではないこと。

加えて複雑な現実を意識的に処理できるほど認識力が高くないことです。

現実とは莫大な要素の相互関係によって常に流れ変化するものであり、
一定のパターンが適用し続けられる状況は意識的な側面により、
システム化を進めてきた人間社会においてもまれ。

故に無意識に形作られたシステムもいずれは役に立たないものとなる、
そうなった時に意識が能動的に舵取りをする必要がありますが、
なぜシステムが通用しなくなったのかを即座に認識把握することは難しい。

先に話したように意識は無意識より持続力も影響力もない、
働かせるにはそれなりのエネルギーや余裕が必要。

システムが通用しないという混乱状態の時に冷静に意識を働かせるのは、
日常的にきちんと訓練を積んでいないと大抵の場合はできないでしょう。

システムが通用しない状況において能動的な認識による舵取りに失敗する、
それがつまりは人が起こすミスであると考えます。

繰り返しになりますが現実は意識的に認識しきれるほど単純ではなく、
故に程度の差こそあれ必ず意識的な舵取りは失敗する。

そのため人為的なミスもまた必ず起こるものなのでしょう。

以上を前提として、ではミスによる主に負の影響を軽減するには、
どのようにすれば効果的なのか?

個人としてはシステム化により対応できない状況は必ずあることを前提に、
意識的な側面をうまく扱えるよう訓練しておくことが大事に思う。

先に少し触れましたが人間社会とは自然(現実)という流れから離れ、
システム化を進めることでパターン化、単純化することにより、
一定の反復行動でより多くの物事に対処しようとして構築されたもの。

産業革命、工業化なんかはその典型であったと考えられる、
機械化、過程の分割による1人あたりの作業の単純化で、
莫大な量の生産を可能とした。

しかし生産にのみ焦点を当て環境との調和を度外視した結果、
環境汚染による様々な歪みが多くの不利益をもたらした。

日本でも戦後の急速な工業化により。

イタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく、
4大公害病と呼ばれる問題が社会を大きく混乱させたことがある。

その後、環境と工業をうまく調和させる取り組みにより、
問題の改善を図ってきましたがこの流れは個人としても同じ。

無意識のシステム化とそれによる歪み(ミス)、
それを意識的に改善していくという流れ。

それを可能とするために必要な要素は2つある、
1つはシステム化の歪み、ミスによる負の影響が、
取り返しのつかないものにならないようできるだけ配慮すること。

もう1つは繰り返しですが後に柔軟に対応できるような、
意識的な側面をうまく活用できる能力を身につけること、
きちんと訓練しておくことです。

現代のように多くの過去の記録の蓄積がある現代においては、
同じようなミスやそれによる結果は探せば何かしら見つかるもので、
それをできるだけ参考にしてうまくシステムを構築するのが大事。

2つめについては、これはもうやるかやらないかしかない、
少しでもいいから時間をとって能動的に考えることを続ける。

例えば1日を振り返って自分の言動やそれが周囲に与えた影響を、
きちんと分析し内省するといったことでもいい。

とにかく無意識のシステムに完全に依存せず少しでも意識を働かせ、
持続力や影響力を高めるよう務めることが大事に思う。

何にせよ言えるのは無意識的なシステムの確立、
システムにより対応しきれない現実的な歪みが生じる、
歪みを意識的に乗り越えるという流れをうまく行うこと。

行えるようどのようにすべきかを考えることが、
ミスとうまく付き合い乗り越えるために大事だということです。

同じように思ってもらえたのであれば意識してみてほしいと思います。


では、今回はここまでです。
ありがとうございました。

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