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キャリア的視点250 -プロティアン人材になる方法-

毎日ブログ 250日目(2020/11/4)

私が最近特に頻繁に書いているのが、キャリア理論のひとつ「プロティアンキャリア」です。

代表としてこちらの記事をリンクしますが、他にも様々なところで関連した事を書いています。多分250回の毎日ブログの中で1/5はプロティアンに関する話題が入っているのではないでしょうか。

何故、これほど記事にしているのでしょう。
それはやはり、日本のこれからの時代に必要な理論であり、それを実践できる人材を世の中が必要としているからです。その人材をプロティアン人材と呼んでいます。

これまで書いて来た記事の復習が多く成ります。今日は少々長くなりますが、よろしくお付き合いください。

日本雇用市場の歴史

日本のキャリア概念は前後の経済成長の中で自然に培われて来た【日本型雇用システム】によって賄われて来ました。
これは日本人の気質にも合っていたのだと思うのです。情に厚く、家族を含めて働ける最後まで面倒を見ようという社長が多かったから生まれたシステムなのだと思います。

しかしバブルが弾け、なんだかんだで成長を続けて来た企業も成長が困難になって来ました。それどころか経営維持のためには、情を入れる余裕がなくなって来たのです。

10年以上も前から【日本型雇用システム】は崩壊を始めていました。特に顕著だったのが年功序列型賃金制度です。つまり「年齢給」です。年齢階層ごとに手当て的に給与がつく制度です。
ベンチャー企業では早々にこれが排除されていました。まだ年次昇給は残っている企業も多いのですが、これも時間の問題かと思います。

続けて壊れたのが終身雇用制度です。2019年12月の経団連会長の話、2020年5月のトヨタ自動車社長の言葉。これが限界を象徴していました。
日本はまだ定年制度が、法的に謳われているため安心している方もいるのでしょうが、それはなんの保障にもなりません。
企業はどうにもならなくなったらリストラクチャリング(再活性化のための組織改革)で、定年にあぐらを掻いている人を切ります。

今はまだ『新卒一括採用』がどうなるか、流石にわかりません。これは学生さんにとっても企業にとってもメリットが大きい気がするのでしばらくは続くと勝手に思っています。が、これもひょっとすると、ひょっとするかも知れませんね。

新プロティアンキャリア

1976年頃、アメリカの心理学者、ダグラス・ホール氏が提唱したプロティアンキャリアは、今や全世界に浸透していると聞きます。知らないのは日本人だけと言うのが本当らしいのです。

そのプロティアンキャリアを日本人にも分かりやすく、かつ本家プロティアンキャリアにはなかったキャリア資本という概念を加えてバージョンアップさせたのが、法政大学の田中研之輔教授です。

つまり、元々のプロティアンキャリアが提唱する「アイデンティティ(自分らしさ)」×「アダプタビリティ(適応力)」に加え、キャリア資本を追加するのです。

キャリア資本とは「ビジネス資本」「社会関係資本」「経済資本」の3つを合わせたものになります。

ビジネス資本
スキル・語学・プログラミング・資格・学歴・職歴など
社会関係資本
職場・友人・地域などでの持続的なネットワークなど
経済資本
金銭・資産・財産・株式・不動産などの経済的なもの。

先の「アイデンティティ(自分らしさ)」「アダプタビリティ(適応力)」を合わせたこの5つを構築していく事が、プロティアン人材になる為に必要な物となるのです。

ちなみに… 本家本元のホール教授のプロティアンキャリアを知りたい方は、こちらをお読みください^^; かなり詳しく書かれていますよ(^^)

新プロティアンキャリアと謳いましたが、本家のダグラス・ホール先生はまだ知らないのだと思います^^;

プロティアン人材に至る道

そもそも何故、プロティアン人材になるべきなのでしょうか。

大きく変わるのが組織と個人の関係性です。
本来キャリア的視点で考えれば、働く個人個人のキャリアが組織に従属するのではなく、逆に個人が活躍する為の土壌として組織があるのです。

ただこれは旧来の日本組織では忌避されやすい考え方です。イメージできるのではないかと思うのですが、旧来の組織としては「組織の発展のために個人がある」という形で成立しています。

しかし、改めて考えてみてください。組織というのは個人が自由意思によって有機的に集まったものです。逆ではありません。

私たちは、たまたま日本に生まれたから日本人として生活していますが、私たちは自由です。日本という国より魅力的な国が見つかれば海外に移住することだって当たり前にできるのですよ。
国ですら自由に行き来できるのですから、企業間なんて簡単に移動できて当たり前なのです。

また言い換えれば組織にとって従業員はなくてはならない重要な要素ですが、「○○君がいないと会社がつぶれてしまう」という人材は存在しません。社長ですら交代可能な人材です。
しかし個人のキャリアはあなたがいなくなったらもう成立しません。というよりあなたのキャリアが無くなるのは、あなたが亡くなる瞬間です。あなたは自分自身のキャリアに対しての責任があるのです。
そう考えたらどちらが主でどちらが従か、聡明な皆さんには簡単に判断がつくのではないでしょうか。

この動画で豊田社長が最後に言っているプロの姿。
これもプロティアンな姿なのだと思います。

プロティアン人材になる

その主たる個人のキャリアを構築していく際に大切なのが、「心理的成功」にあります。旧来の縦型キャリアの先に個人の心理的成功があるのであれば、その本人にとってはそれが正解なのです。
しかし全員が全員、縦型キャリアに心理的成功を得る訳でもありません。だからこそ個人で自分のキャリアを選ぶことのできる環境が必要なのです。

人によっては管理職にならず、ずっと現場にいることを望むのかも知れません。
ある人はひとの役に立っているという実感が欲しくて、警察官という職を選ぶかも知れません。
金こそ至上の価値がある! という方はバリバリの営業マンとして活躍するのかも知れません。

個人個人異なる「人」です。であればひとり一人異なるテーマを掲げて働くのが当然なのではないのでしょうか。その為には縦型キャリアを昇るのではなく降りることすら当たり前にできてしまうのです。

以下に先述の田中研之輔教授(愛称:タナケン先生)が著者「プロティアン」に掲載している表を使わせていただいています。
ぜひ試してみてください。

プロティアン・キャリア診断
1. 毎日新聞を読む
2. 月に2冊以上、本を読む
3. 英語の学習を続けている
4. テクノロジーの変化に関心がある
5. 国内の社会変化に関心がある
6. 世界の社会変化に関心がある
7. 仕事に限らず、新しい事に挑戦している
8. 現状の問題から目を背けない
9. 問題に直面すると、解決するために行動する
10. 決めたことを計画的に実行する
11. 何事も途中で投げ出さず、やり抜く
12. 日頃、複数のプロジェクトに関わっている
13. 定期的に参加する(社外)コミュニティが複数ある
14. 健康意識が高く、定期的に運動している
15. 生活の質を高め、心の幸福を感じる友人がいる
●Ⓒ田中研之輔 出典:プロティアン

12個以上 ・・・ プロティアン人材
  変幻自在に自分でキャリアを形成し、
  変化にも対応できる

4~11個 ・・・ セミプロティアン人材
  キャリアは京成出来ているものの
  変化への対応力が弱い

3個以下 ・・・ ノンプロティアン人材
  現状のキャリア維持に留まり
  変化にも対応できない

皆さんはどうでしたか? わたしはまだセミプロティアン人材でした。

プロティアン人材になると言うことは、自分の満足する仕事をして活きていく事ができるという事です。それは言い換えればキャリア的な自立を意味します。特にこれからのテレワーク化する時代には必須なスキルとなっていくのです。

「キャリア=職歴」の時代は終わりました。
キャリアとは経歴です。これからの経歴と、これからの経歴を合わせてキャリアです。
つまり「キャリア≒人生」です。そして人生は生きるだけでは足りません。
人生を活きる為にプロティアン人材になる事をお勧めする、これが理由です。

個人の活性化が組織を活性させる。これは先にも書いた様に個人が集まっての組織ですから当然です。
従業員個人個人が活性化すれば、自動的に組織も活性化していきます。これからの経済を活性化させるキーワードが「プロティアン」なのです。

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個人の活性化を組織の活性化に繋げます。

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