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#165 I’m home!


イギリスの我が家に帰って来た。

朝8時にロンドンに着いた。
これまでなら、パスポートコントロールの列が長く荷物を受け取って空港を出るまでに結構な時間を要していた。
今回も念を入れてコーチ(高速バス)の予約を遅めに設定していた。
もしもそれより早いコーチに乗れたならその場で変更できるチケットを買うという念の入れようだったのだ。
ところが、その日は全部のコーチが満席だった。こんなことも今までなかったので想定外だった‥‥

2か月ぶりのイギリスはめっきり肌寒くなっていた。
朝8時からずっと待ち続けたコーチが一時間遅れ、やってきたのが午後2時。家まで5時間かかるはずの道のりが、渋滞でまた遅れる。

バスから見た景色


結局、家にたどり着いたのはロンドン到着から12時間後の午後8時だった。
いきなりイギリスの洗礼を受けた感がある。

真夜中に目が覚めて、自分がどこにいるのかわからなくなった。月あかりに映し出されたものは、そこにあるはずのない、幻想的な風景。障子には朧月にすすき、桔梗の影が映し出される。
いや、そんなものはないのだ。出窓を覆うカーテンがあるだけだ。なのにまだ私の『日本に留まったままの潜在意識』がそんなものを作り出すのかもしれない。
ベッドから降りた瞬間、期待した畳のサラリとした感触とはほど遠い、分厚い絨毯が‥‥ 
混乱した頭のままドアの前に立つ。それが引き戸なのか、それとものれんなのか、と困惑し、ようやくドアだと気づくことができた。

慣れ親しんだ自分の家に帰っても、2か月間日本に居たその感覚が頭の中から抜けていなかったのだろう‥‥ これまでは2週間の滞在が精いっぱいだったので、こんな感覚は初めてのことだ。
でも明日になれば全て目の前のものが『当たり前』になっているのだと思うと、ちょっとだけ寂しい。

朝になって、庭のもみじの葉がこんな色になっていることに驚く。
もうすっかり秋じゃないか。

右に傾いたハート♥️


玄関のドアを開けたら、アーチになってる葡萄の木の躍動感に大いに元気をもらう。去年は葡萄があまり生ってくれなくて寂しかったんだ。

ちょっと暗くて見にくいけれど…
角度を変えて。
今年はたわわに生ってくれました。
完全無農薬は最強!

本当は、この小さいのにタネ入りの葡萄はあまり食べるのには向いていないと思っていた。だから食べない年も、ガーっとジュースにして一度に飲み干す年もあった。

けれど、日本で暮らしてきたという経験が私のこれまでの『思い込み』をひとつひとつ溶かしていく。

あまくてみずみずしい紫のつぶ。
一粒一粒の秋の恵みを味わっている。

つい先日までの日本での日々を振り返る。
実家ではない場所での日々や、夫とふたりで感じたことなど、どれも大切な時間だった。
イギリスにも根を下ろせないどっちつかずの自分だったけれど、もう少し重心低く、
それでいて自我に凝り固まらないしなやかさを持ちたいと思った。
日本ががんばれと言ってくれた気がする。


私、これから少し変われるかな?


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