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#103 言葉を使わなくても、愛情って伝わるんだね。ただ、素直でいないと受け取れないんだね。




「買ってきたよ、ミズカが好きだと思って」‥‥とか、

「これ全部きみのために選んだよ」‥‥とか。

出費には慎重な人だが、木や花の苗はよく買ってきてはそんなことを言う。
自分が欲しかったのはみえみえなのだけど‥‥


相棒は英国人の夫。日本で始まった結婚生活だが、7年経って夫は英国へ帰りたいと言った。英国に移り住んでからは、子どもを育てることに無我夢中でやってきた。
私自身、20年間というもの、ごくあたり前にこの国で骨を埋めるうずめる気持ちでいた。ところが、ここ2年以上英国からしばらく離れたいと強く思ってきた。

なんでまたそんなことを‥‥ と訊かれても、「いいではないですか、私だって英国からしばしお休みが欲しいのです」‥‥そう答えるしかない。ちょっと距離を置いたら、また英国が恋しくなるかもしれないのだから。


出会った頃に比べたら夫への気持ちに変化があるのかな‥‥と考えてしまう。
生涯添い遂げたい気持ちは変わらないけれど‥‥
I love him の土台はあるけれど‥‥

I don't like him が時々顔を出す。

そんな自分も嫌だと思っていた。


この投稿は、八月の終わりに書いていた下書きだったらしく、記事を整理して見つけました。引き続き載せるので、『ああ、3か月前の話ね』ということで読んで下さればと思います。


学校に勤める夫は6週間という長い夏休みがある。英国の夏休み明けは9月1日からではなく、9月最初の月曜あたりから始まる。今は夏休み最後の数日を惜しんでいる毎日だ。

流行り病で何もかも規制されている日々だから、もう長い間どこへもホリデーに出かけていない。

このごろ私たちはなんだか気持ちも足並みも揃っていない‥‥ その夫は寝る時間が早くて、朝も早い夫は、私が目覚めたらすでに庭で一仕事している。

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あんな朝や、

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こんな朝。
カーテンを開けた窓から、遠巻きで夫を見る。この距離は私たちの今の距離だ。


ピンクの花

日本に行きたい。

「この家は人に貸して日本に行っちゃおうよ」と言い続ける私がいる。

この冬の分の薪は十分にある。
夫はどんな気持ちで、二、三年後にべる薪を蓄え続けているのだろう‥‥ (誰かに貸すならセントラルヒーティングがあるからそれでいいじゃない‥‥)

どんな気持ちで、この夏も新しい花の苗を買い、伸びた木を剪定しているのだろう‥‥


夫が庭仕事に区切りをつけて紅茶を入れて自分の部屋に行く。テレビの前でいったん横になるのだ。

血圧の低い私は、この辺で外に洗濯物を干しに出る。

そのように夫と時間差で庭に立つと、いたる所に夫の愛情が感じられるのだ。

『打ち捨てられていた』ようなものを好んで再利用するのが上手い夫。さりげなく私の好きな白い花が、キッチンの流し台に立った時に見えるように置かれている。

無造作に置いた鉢植え

もし彼が死んでしまったら、私はなんでそれに気づかずにいたのかと、号泣するんじゃないかといった勢いで、それらひとつひとつが目に飛び込んでくる。(ちょっと極端かもしれない)

白いあじさい

これも紫陽花の一種だと思うが、白いのがいいと言ったら夫が育ててくれた。

庭から見た3本の木

右から、オリーブ、桜の一種で葉が年中赤い木、八重桜の咲く木。これらも全部ここに引っ越してから夫が植えて大きくしたものだ。

ハート型のもみじ

もみじの木。初めは植木職人よろしく日本風に剪定していたが、いつのまにかこんもりしてきてしまった。去年私が右に傾くハート型に散髪して悦に入った名残がある‥‥今年は微妙だ‥‥

Shedの前の本の木

ガーデンシェッド (物置小屋) は夫がひとりでキットから作ったものだが、何度も色を塗り替えてきた。

よく話し合い、その度に意見の合わないことがどれだけあったか‥‥

今の色だって、夫がドアだけ茶色に塗った時には、「それだけは嫌だ」と伝えていた私の意見をないがしろにされた、と本気で怒ってしまった。結局、私の不機嫌に耐えかねて、数日後にこれに落ち着いたのだが。

カーテンも、これまではギンガムチェック系が多かったが、私が『田舎のおばあちゃんの家』風でいきたいと言って、これになった。

ドアの両脇の鉢植えの木は、地中海のほうでよく見かけた、ホリデー思い出の花を咲かせる。



猫と足あと


書いていたのはここまでだった。
読み返して、何が言いたかったのだろう‥‥と苦笑する。

なかなか言葉にできなかったんだろうなぁ、の中身は、
きっと私は、日本に行くことがお預けになって宙ぶらりんなのに、夫のほうは淡々と日々を愛おしんで暮らしていることに、勝手に苛立っていた。 (かなり不条理である‥‥)

そのくせ、自分の執着にとらわれたままの私に対して、夫は当たり前に私のことを養い、気遣ってくれているのだ。

冒頭の文章を読み返すと、私って本当に可愛くない。

もっともっと素直に夫の言葉を受け取っていたなら、陽だまりのような家庭になるのにね‥‥ イタイな、私。

日々を素直さで埋めることができたら、自分に向けられる愛情なんてどこからでも見つかるのだと知る。‥‥こんな歳になってまだここ!


あれから3か月後の今は、ふたり仲良くやれている。夏に同居した息子もいなくなってからはふたりだけのリズムがまた取れてきたのだと思う。

状況は変わらないけれど、自分がとても幸せだと言えるのは、素直さ感謝することのおかげ。

逆に、3か月前の下書きから「おやおや、自分こんなこと書いてたか」と振り返ることができたので、ここに残しておこうと思う。


ありがとうオット。

夫と向き合って、瞳の奥まで見つめることを長い間忘れていました。

見つめる先の夫ひとりに微笑むことも。

自分の感情ばかりに浸ると、それに独占されて、一番近くにいる人を実は全然見ていなかった。それに気づけて、夫との距離がなくなってよかった。

もしももしも、私みたいに上の二つをちゃんとやってなかった方がいましたら、このふたつを思い出してみてください。もちろん男性の方は奥さまへ。

note書くよりも、シーツ替えるよりも、シャツにアイロンかけるよりも

絶対に大事なことでした




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