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VRC環境課 ガメザ出自

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出自とか設定のあれこれ
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無色な思い出

私が生まれた...いや、目を覚ました時、細目の男性、■■■がガラス越しに微笑んでいたのを覚えている。 名も知らず、状況も何もかもがわからない事だらけだったが、唯一この人だけは信頼を置ける事だけはわかった。 自分を包んでいた淡い緑色の液体で充たされていたガラスの筒から出ると、■■■が私に近付き言った。 「おめでとう、君は私の研究史上初の"成功作"だ。」 目覚めてからしばらくは、言語の発声の仕方や読み書き、自分達がどう言った目的の下で研究を行っているか等を学び、体が成長してく

ガメザ ep.0-2

何気ない日常の中に幸せを見出すコツは、大きな幸せを望むことではなく、小さな幸せを拾い集めて行くことだ。 しかし何てことだろう、今日はいい日になる。とても。 「うん、難しいのは追々覚えるとして、見込み通り元気がいいのはいい事だ。取り敢えずは採用かな、来週からよろしくね。」 「マジすか!?ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします!」 本来ならば声を抑えなければならない小さな会議室に、驚きと欣喜、少しの粗野を含んだ声が響いてしまった。 翡翠色の狐の前に座る3人の内、

Being Late

窓から刺す朝日と、吸った空気の冷たさで目が覚める。眠い目を擦りながらもう一眠り...とは行かず、大声と共に布団を剥がされた。寒い。 「もう!目が覚めたんだったらそのまま起きなさい!」 「...シスター...寒い...」 「そんな怯えた小動物みたいな目をしてもダメ!さっさと支度しなさい!でないと朝食は抜きですよ!」 最後の言葉を聞いた瞬間に目が覚めた。それだけはマズイ。しかしながら、最近はよく冷える...朝起きるのが億劫にもなる。俺はまだ子供だって言うのに、シスターや神父様

ガメザep.0

「おい!テメェ!待ちやがれ!」 居酒屋から店主が勢い良く飛び出して叫んだ。どうやらココ最近頻発している"食い逃げ"にあったらしい。 「ヘッ!待つわけねぇだろバーーーーカ!!!!」 「捕まったらいの一番にぶん殴ってやるからなぁあ!!!」 「楽しみに待ってるぜマヌケーーー!!!」 翡翠色の毛並みの獣人は、店主に叫びながら常人とは思えないほどの逃げ足で走り去って行った。 「ふぅ...ここまでくりゃあ撒けただろ。しっかし口うるせぇ割りにはあんま美味くなかったなあの店...ぼっ

とある日記

ある吹雪の夜、教会の扉を叩く音が小さく響く。扉を開けると、そこには5歳くらいだろうか?子供が1人立っていた。酷く怯え、体中には傷とアザ、一目でこの子が虐待を受け、どこからか逃げてきたのだろうとわかった。素性を聞くよりもまず体が動いた。 「ああ...可哀想に...中へお入り。寒かっただろう、すぐ手当てと食事をあげよう。」 この教会には同じ様な家出子や捨て子をこうして匿う事があったので、今夜の出来事もそれほど珍しいことではなかった。しかし、この子はいつもと"何か"違う気がした