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ため息俳句 ぼけ茄子

 人から「ぼけ茄子」と言われれたら、これは悪口である。
 自分のように何につけても、気が利かずぼんやりしていると、「このぼけ茄子」なんてののしられる羽目に陥る。面と向かって言われたことはないが、陰ではきっとそう云われてきたに違いない。
 さてはそれはそれとして、畑の茄子であるが、この夏しゃきっとした色合いの茄子が本当に少ないのだ。多くが色艶の褪せたくすんだものであった。あのぴかぴかの紫の茄子になかなかお目にかかれなかった。
 植えたのは、もっとも一般的な「千両二号」、家庭菜園の定番である。植え時期も例年並み、肥料もなにも例年並み。しかし、出来は例年並みとはいかなかった。
 まあ原因を想定するなら、なんといっても今年の6、7月の暑さである。それに降水量の少なさ。畑は乾ききっていた。旱である。高熱に水分不足と来ては、これはもう「ぼけ茄子」になる以外にどうしろいうだと、・・・、茄子がぼやいているような気がする。
 この気象は、茄子だけではない、いろいろと被害を与えている。キュウリもそろそろ撤去するしかなくなった。ちょっと早い。小玉すいかが、熟さないうちに次々と破裂した。隠元なんてぼろぼろ。トマトも早く育ちすぎて、今はすっかり勢いがない。
 恐らく、路地で栽培する農家さんは、困っているはずだ。
 一昨日、隣の行田市まで所要があって行った道々、梨の直売農家さんの幟をみつけて、妻が興奮したので立ち寄ると、炎天下、販売所の前にたくさん人が並んでいる。駐車スペースをやっとこさ見つけて、とりあえず列の尻に並ぶと12時からの販売開始であると教えてくれた。行田市で梨というのは珍しいのだが、地元の人には良く知られているおいしい梨だとおっしゃる。
 自分らは30番目ほどであったが、厚さを我慢しながら20分ほど待つ間、またたくまに後方に同じくらいの人が並んだ。
 さて肝心の梨であるが、その日がちょうど販売初日であったのだが、今年の梨は日焼けしたものが混じります、形もやや小ぶりです。味は大丈夫です。そう農家さんが申し訳なそうに説明された。やっぱり、高温少雨によるのだという。おかげで、通常価格より200円引きであった。まあ、妻としては大満足であったが。
 
   深刻さは加速度的?に・・・危ないのでないかな、この気象の急激な変化。稲作だって、高温すぎるのはよくないのだ。これ以上、米の値段が上がるなら、それはもう・・・。ぼんやりしていると農産物も水産物もこれまでのように口にできなくなる。

 とにかく茄子好きの自分としては、色艶のよい茄子であってほしいのだ。茄子漬にしても、あの色がいいのだが。とはいえ、茄子のせいでないのから。

ぼけ茄子やほっこりやさしく焼いてやろ 空茶


 実は今朝、もう秋茄子に期待するほかないと、枝を剪定してしまった。秋茄子はその切り詰めた枝から新しい芽が出て葉を茂らせ花が咲いて実となるのだ。
 剪定を終えて、ふと気づいた。これでは、お盆に困るではないか。精霊馬が作れない。毎年、自分の畑でとれたものを使っていたのに。うーん、弱ったなあ。
 今夜あたり、叱られるかも知れん。

「ぼけ茄子はやはりお前だ」夢まくら