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ため息俳句 白梅


 散歩コースの鎮守の白梅である。
 小さな池のほとりに咲く。
 素朴な、梅らしい梅の木。
 大抵は人気のない境内だから、誰かの目に留めれれることもあまりなさそうだ。
 欅の大樹が社の前庭にそびえていて、その幹の脇にさび付いたベンチがある。そこに一人、腰を下ろして、中途半端に冷めた甘い缶コーヒーを飲んで一休みをする。
 今時は、ちょっと貧相な白い梅が咲くだけであるが、ここの桜はなかなか見事なのである。境内を取り巻くように植えられていて、それが梢を高々とのばして咲くと、空を狭くするのだ。
 そんな時でさえ、人気がない。
 それでも、何時だって境内はよく掃除されているところからみれば、村人の人柄のよさがしのばれるのだ。

 さて、今日は旧暦であると、12月30日大晦日である。大晦日は、一年の最終日であるから「年の暮」という。

 一茶にこうある。

ともかくもあなたまかせの年の暮  一茶

 じたばたしたって、どうにもならんぜと、いうわけだ。
 
 とにかく本日もあと一時間をのこすのみだから、一時間後は旧正月元旦である。なんとおめでたい。
 つまり、暦が昔の通りであれば、たしかに明日の元日には梅の香りもあるのだと言うより、十二月には梅が咲いているということなる。
 こういうところで、微妙にギャップがでてくるのだなあと、・・・。


「年の暮」今は昔に梅かほる

白梅や人待ち顔に缶コーヒー