見出し画像

ため息俳句 小蝿

 何やら、家の中に小蝿が飛んでいる。
 二,三日前から気になり始めた。
 特に食事時などは目障りである。
 今朝は鼻の穴に飛びこんできて慌てて払いのけた。
 妻に云うと、目にも衝突するという。

 ごま粒程か、それ以下の小さな奴が、遊ぶかのように空中に浮かぶ。
打とうとすると、意外にもするりと逃げて行く。
  それでも、しつこく追い込んで叩くのだが、これが切りがない。
 いつ間にかこんなに多く発生していたのだった。
 
 そもそも小蝿とは何者だと、殺虫剤メーカーのHPに尋ねると、こうあった。

コバエは、ショウジョウバエなどの小さなハエの総称で、「コバエ」という名前のハエは存在しません。コバエと呼ばれるものの中には、ショウジョウバエ、キノコバエ、ノミバエ、チョウバエなどが含まれ、種類によって発生場所は異なります。(アース製薬)

 我が家の奴は、ショウジョウバエらしい、病原体を運んだりしないらしいが、見た目に不快である。というより、五月蠅くて、いらいらさせられる。
そんなちっぽけ以下の奴に振りまわされるのは、滑稽であるのだが。

 ともあれ、少し心を落ち着かせてみると、なんとも「命」のありようというのは、多様極まりないものだと思った。自分は近視で老眼で乱視であるので、鼻先の視界をよぎる小蝿は、黒い小さな浮遊物のように目に映るのであるが、だがそれは、浮かぶ塵ではなく、飛んでいる「生物」であると瞬時に区別出来る。どうしてだろうか、そんな微少なものが生きものであると直感できるのは。不思議だ。


小蝿打つ窓辺の空に月一つ


 今夜は、十三夜月でよかったろうか、少し秋らしくなったと・・、いやまだまだ。