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ため息俳句 ほうれん草蒔く

 ほうれん草を蒔いた。ほうれん草の種は、固い殻でとげとげである。一晩水につけて蒔くのだ。

 さて、ほうれん草は、漢字表記では法蓮草と書くことがある。正しい表記は、中国名の菠薐草であると。ほうれん草は中国から江戸時代に長崎に伝えられたのだそうだ。それにしても当て字の法蓮草、何らや仏教的なお名前でありがたい感じがする。
 子供の頃、ほうれん草というのは、まるで万能の健康野菜のごとく言われていて、これさえ食べていれば、すくすく元気に育つ風なことを聞かされていた。
 それを後押ししたのが、これだ。


 子どもがアニメから影響を受けるのは、今も昔も同じだ。
 そもそもポパイがほうれん草を食べるという設定そのものが、アメリカの子供たちのホウレンソウ嫌いを直すための啓蒙であったという。
 そういうわけで、東海の小島の敗戦国の貧しい家庭の子どもであった自分らも、アメリカの水兵さんの言葉を信じてしまったのであった。
 その後もしっかりと自分の食習慣に刷り込まれてしまっていて、独身時代定食屋へ行くと、ほうれん草のおひたしの小鉢をメニューに見つけるとなんとなく追加注文して、なんだか安心したのであった。当時は、野菜サラダを食べる習慣は自分についてはなかったのだった。
 しかるに、現在はどうかというと、今もってほうれん草のおひたしは好きだが、いかんせんプリンタ体が多い、痛風発作に怯えている自分は、気軽に口にできない野菜になってしまった。
 それでも、ほうれん草は冬野菜として無視するわけには行かないのである。

種蒔くを地に返すとは誰か云う

ほうれん草種尖らせて威嚇せし


ほうれん草オリーブ・オイルえが好き