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「古今十七文字徘徊」帖

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古今のふれあった俳句作品についての所感を記録しておくノートのまとめです。作品にふれあうというのは、きわめて個人的なことで、古典として名高い名句とか、コンクールの優秀作品とか、そう…
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#蕪村

#10 動く葉もなくておそろし夏木立 蕪村

#10 動く葉もなくておそろし夏木立 蕪村

 鬱蒼とした夏木立の道を行く。
 行く手も、振り返っても、森はまったくの無風で、葉っぱ一枚動いてない。
 静まりかえっている、不気味、おそろしい。

 そんな感じだろうか。

 関東平野の水田地帯に生まれたので、身近には小さな雑木林はあったものの森林とまでいえるような場所は無かった。

 何度も書いてきたが、武蔵丘陵森林公園は自分にとって心身のリフレッシュの場であるのだが、平日の人気のない林間の道

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#7 とべないほど血を吸うて 山頭火

#7 とべないほど血を吸うて 山頭火

 「十七文字徘徊」とか看板を挙げているが、特に定型至上主義ということは、全くない。ここの「十七文字」という語は、「俳句」というジャンルを意味するので、有季、無季、定型、自由律、どれであろうと「俳句」であれば、よいのである。というより、表現者が、これは「俳句」であると意図していれば、そのように受け止めるのが当たり前のことだ。

 種田山頭火については、俳句好きな人であれば自分などよりはるかによく知る

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