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-映画紹介-『ハチミツとクローバー』 人が恋に落ちる瞬間を初めて目にしました

《乱れ撃ちシネnote vol.09》 22.10.04

ハチミツとクローバー

【Introduction】

蒼井優を初めて目にしたのは2006年のクドカン脚本のドラマ『タイガー&ドラゴン』。
主役の長瀬智也を始め岡田準一も西田敏行も銀粉蝶も阿部サダヲも笑福亭鶴瓶も伊東美咲もナイス・キャスティング。お気に入りのクレイジーケンバンドの曲名がタイトルと主題歌に使われていたことも嬉しかった。

タイガー&ドラゴン

とは言え谷中竜二(岡田準一)が裏原宿で経営するブティック「ドラゴンソーダ」の唯一のアルバイト店員リサに惹かれてしまったんです。
演じたのは蒼井優
お店の売上を上げるため健気に努力しているが口論の挙げ句店長竜二に蹴りを入れるほど暴力的な面もあったりして。
誰なんだろうこの人?
なにしろインパクトを感じさせる女優でした。

初めて彼女の映画を観に行ったのは2006年8月12日川崎チネチッタ。
作品は『ハチミツとクローバー』です。

ほぼ10年ぶりにサブスクで再見しました。
ベッドに横になりタブレットで。
残念ながらチネチッタの時やその後レンタルDVDで観た時よりも印象の薄い映画になっていました。
ただし蒼井優の存在感は少しも色あせていません。

原作のマンガを読んでいないのでこの表現がふさわしいかどうか分かりませんが実写の中にマンガから抜け出した透明感いっぱいのはぐちゃん(蒼井優)がいました。
妖精のようなはぐちゃんにはうっとりです。
この作品は☆☆☆★ですがはぐちゃんだけに限れば☆☆☆☆なんです。

【Prologue】

桜の満開の季節のある日のこと。
美大生竹本祐太(櫻井翔)と十数人の仲間たちが美術史の講師花本修二(堺雅人)の家に集まり恒例の宴会「花本会」が始まろうとしていました。
ワイワイ準備で騒がしい仲間たちとはちょっと離れた縁側で竹本は一人で楽しそうに餃子を包んでいます。

その後姿を目にした女生徒たちは
「竹本君変わってるよね」
「美大生っぽくないって言うか不健康さが足りないかな」
「要するにオシャレ度ゼロっていうか」
「彼氏にはちょっと、でも旦那なら・・・」
「ワタシは無理」
など好き勝手に盛り上がりながらニラなどを刻んでいました。

宴会のスタート直前に「乾杯のビールが足りないんですけど」とある学生が言い出すと「2階のアトリエの冷蔵庫にビールが1ダースくらいあるぞ」と花本。
「ぼくがとって来ますよ」と竹本は率先して階段を登り始めました。
竹本の先輩真山巧(加瀬亮)が「この家の構造は分かりにくいからな〜」と一緒に2階に向かいます。

2人は2階のアトリエで知らない女の子が巨大なキャンパスに夢中で絵を描いているのを目にします。
ヘッドホンで音楽を聴きながら描いている女の子は2人の存在に気が付きません。
はっと気がついて竹本と真山の方を向いた女の子はまるで少女のような透明感にあふれています。
少女と目があった竹本の横顔を見た真山。

✽真山のモノローグ
〈人が恋に落ちる瞬間を初めて目にしました〉

女の子は花本の従兄弟の娘花本はぐみ(蒼井優)です。
はぐみは人見知りで変わった性格ですが天才的なセンスを持っているために特待生として入学しました。
内気なはぐみは大学で少し浮いた存在でしたが、花本会で出会った山田あゆみ(関めぐみ)と一目惚れされた竹本とは少しずつ打ち解けて話すようになります。
そんなさなか世界を放浪していた8年生の森田忍(伊勢谷友介)が長旅から戻ってきました。
学生寮に住んでいる竹本の隣の部屋の住人です。
自他共に認める才能豊かな森田には個展の話が持ちかけられます。

はぐみが絵を描いているところを目にした森田はいきなり「お前いいな!センスあるよ!」と声をかけ、キャンバスに大胆に描いているはぐみの姿を嬉しそうに見つめていました。

この先はお決まりの三角関係だったりなんやかんやの青春群像劇が始まります。


【Trivia & Topics】

✻草原を作るには蜜蜂とクローバーが必要だ。
 
エミリー・ディキンソン

✻はぐちゃんの圧倒的な魅力。
この作品は主人公の竹本を中心に5人の芸大生をとりまく人生、恋愛、友情、芸術、三角関係、片思いが語られる青春群像劇です。
ダイナミックな物語の展開はありませんが内気で言葉少なで童女のようなはぐみからは目が離せません。

✻あの作品、1週間前の方がよかった。
個展の目玉になる木彫りのオブジェの制作に一心不乱に打ち込んでいる森田の姿を嬉しそうに眺めていたはぐみですが、完成直前に「一週間前の方が良かった」と森田に告げます。

✻マイベストです。

『フラガール』で一気に認知度が上がった蒼井優ですが『花とアリス』『亀は意外と速く泳ぐ』『彼女がその名を知らない鳥たち』『ロマンスドール』など様々なキャラクターで楽しませてくれる素晴らしい女優ですがマイベスト蒼井優ははぐちゃんを演じたこの作品に決まりです。

【6 star rating】
☆☆☆★

【reputation】

Filmarks:☆☆☆★(3.3)
Amazon:☆☆☆☆
u-next :☆☆☆☆


『ハチミツとクローバー』は蒼井優の素晴らしさを再確認出来た作品ですが画面に登場したときから気になる見たことのない俳優がいました。
タバコを咥えながら目を細める顔つきが印象的な花本修二役の堺雅人です。
気になる役者のリストに新たに1人加わりました。

その後堺雅人が出演している『アフタースクール』『クライマーズ・ハイ』『ジャージの二人』、『南極料理人』『武士の家計簿』『ツレがうつになりまして』『鍵泥棒のメソッド』などを観ましたが、明日は一番お気に入りの堺雅人作品をご紹介します。

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