見出し画像

扶養内で個人事業主として開業|知っておくべき注意点や確定申告について解説!

「扶養に入る」
「扶養の範囲内で働く」
「扶養から抜けると困る」
このように扶養の範囲内で働いている方も多く、働き方の多様化、在宅ワークの普及などからフリーランスとして働く人も増えてきています。

パートの時は103万円の壁や130万円の壁が有名で聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?
しかし、フリーランス・個人事業主として働くことになった場合、扶養や税金など分かりにくい部分がたくさんあります。

私もその一人で、開業届を出し在宅でWebライターをしていますが、開業届を出してフリーランスになったら扶養に入れるのか、確定申告は必要なのか、何をしなければいけないのかなど、わからないことだらけでした。

そこで、今回の記事ではフリーランスになったら扶養に入れるのか、パートの時との違い、確定申告などについて解説していきます。

これからフリーランスとして働こうと思っている、フリーランスとして働き始めてみたけどよくわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.扶養の種類

扶養といっても「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
扶養の話でよく話題になるのは、「社会保険上の扶養」のことが多いと思います。それは自分に直接関係あることであり、関係する金額も大きくなるからです。
では、2つの扶養の種類を具体的に見ていきましょう。

 1-1.税法上の扶養(扶養する側が得する)

税法上の扶養は、扶養している人の収入が一定金額以下の場合に、扶養している人の税金(所得税・住民税)が安くなるという制度です。

一定金額以上の収入がある場合は、扶養から外れて規定通りの所得税や住民税が課せられます。

 1-2.社会保険上の扶養(扶養される側が得する)

社会保険上の扶養は、扶養される人の収入が一定金額以下の場合に、保険料を払わずに社会保険に加入できる制度です。

社会保険とは厚生年金や健康保険のことです。一定金額以上の給与収入がある方は自分で厚生年金・健康保険の保険料を支払いますが、扶養に入ることで保険料を払わずに恩恵を受けることができます。

こちらも一定金額以上の収入がある場合は、自分で保険料を払う必要があります。

2.扶養に入れる条件の違い

扶養には2つの種類があることが分かりましたが、実はどんな収入を得ているのかによって条件などが変わります。
パートやアルバイトで給与収入を得ている場合と個人事業主として事業収入を得ている場合で違いを解説します。

 2-1.パート・アルバイト (給与所得)

まずは、パート・アルバイトで会社から給与収入を得ている場合を見ていきましょう。

【税法上の扶養】
税法上の扶養に入るには年間の「所得」が48万円以内というのがボーダーラインになります。48万円以内であれば扶養に入ることができ、48万円を超えると段階的に税金がかかるようになります。
給与所得には55万円の給与所得控除があるので、以下のようになっています。

103万円(収入)-給与所得控除(55万円)=48万円

よく聞く「103万円の壁」はこの給与所得の場合のことで、総収入の方が分かりやすいためか103万円の壁は広く知られいます。
しかし、事業所得の個人事業主やフリーランスの方は関係ありませんので注意しましょう。

【社会保険上の扶養】
社会保険上の扶養に入るには年間の「収入」が130万円以内である必要があります。130万円を超えると、自分で勤め先の社会保険に加入し保険料を支払うことになります。
厚生年金と健康保険を自分で払うとなると毎月大きな金額になりますので、多くの方がこの「130万円の壁」を意識しています。

 2-2.フリーランス・個人事業主(事業所得)

では次に、フリーランスや個人事業主の場合はどうなのか見ていきましょう。

【税法上の扶養】
事業所得を得ている個人事業主が扶養に入るには、年間の「所得」が48万円以内である必要があります。これだけ聞くと給与所得の人と変わらない、と思う方もいますが、なぜ48万円以内になるのかその中身が違います。

収入-(経費+控除)=48万円

事業所得の場合は、以上のように「経費」という考えがあるため、収入を得るために使用した金額を必要経費として差し引き、さらに控除も差し引くこともできます。
例えば180万円の収入があったとしても、経費が80万円、青色申告特別控除が65万円あった場合、所得は35万円になるため扶養に入ることができます。

事業所得は「所得」で見る必要があるため、給与所得の103万円は関係ありません。103万円以上の収入があっても経費と控除を差し引き48万円以内になれば扶養に入ることは可能ということになります。

【社会保険上の扶養】
個人事業主が社会保険上の扶養に入るには、年間の売上見込みが130万円以内であれば基本的には扶養に入ることはできます。

しかし、扶養者の加入している健康保険組合によって基準が変わってくるため、事前にきちんと確認することが大切です。

3.扶養内フリーランス・個人事業主の確定申告

扶養について説明しましたが、開業届を出して個人事業主になった時に気になるのは確定申告についてではないでしょうか。
ここでは、扶養内で事業所得を得ている個人事業主の方の確定申告について解説します。

 3-1.確定申告が必要な場合

確定申告が必要なのは、以下の4つの場合です。
①事業所得が48万円以上
②源泉徴収されている
③別途住民税の申告をしたくない
④赤字があった

それぞれ解説します。

①事業所得が48万円以上
収入ではなく、経費や控除を差し引いた所得が48万円以上になった場合は税金が発生しますので、確定申告が必要です。

②源泉徴収されている
クライアントによっては、あらかじめ源泉徴収を行なっている場合もあります。事業所得が48万円以下でも確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性もあるので、確定申告をおすすめします。

③別途住民税の申告をしたくない
確定申告はあくまで所得税の申告になるので、確定申告をしないと別途住民税の申告をしなければなりません。
確定申告をした場合は、税務署から自治体へ情報が送られ住民税の計算がされるので、住民税の申告をする必要がありません。

④赤字があった
その年の事業所得が48万円以内であれば、確定申告は必要ないとお伝えしました。ですが、赤字が出た場合に確定申告を行っておけば、その赤字を3年間繰り越すことができるようになります。つまり、その後黒字が出たときに課税所得を減らし、支払う所得税を減らすことができるということです。


 3-2.確定申告が必要ない場合

事業所得が48万円以内であれば基本的に確定申告は必要ありません。
ですが前述した通り、48万円以内であってもその年に赤字だったり、厳選徴収された場合は確定申告が必要になります。

4.まとめ

扶養内で開業して個人事業主として働く場合の「扶養」や「確定申告」について解説しました。

・「扶養」と「開業」は関係ないので扶養内でも開業できる
・扶養の種類には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」がある
・気をつけるべきは「社会保険上の扶養」
・基本的に事業所得が48万円以内であれば、確定申告は不要
・自分の状況によって48万円以下でも確定申告した方がい場合がある

個人事業主・フリーランスといっても人それぞれ置かれた状況が違い様々なケースがあります。
自分の場合はどうなのか、きちんと確認しておくことが大切です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?