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自分が嫌いだったはずの父に自分もなるけど、どうか娘には嫌われたくない。


昔からこの季節になると、父の横を歩くのが嫌だった。

小学生低学年くらいの物心ついた頃からずっとそう思っていた。

恥ずかしいというか、みっともない という気持ちというか、とにかくまたこの季節が来ると、小学生だった僕は父の横を歩くのを極端に嫌がっていた。


でも自分が大人になり、立場が変わると、あの頃の父の気持ちが痛いほどよくわかるようになった。

父にだって避けがたい理由があったのだから。

あの頃の父に謝りたい。

そしてわがままだけど、どうか自分の娘には自分の父を(つまり僕)の横を歩くのを嫌がったりはしないでほしい。

どうかお願いだから。


地球防衛軍のような父の姿


この季節になると と書いている通り

何も常に反抗期よろしくが如く僕は父を嫌っていたのではない。

むしろ親子関係は良好で、普段は大好きな父だった。


でもやっぱりある一定の季節になると、変貌する父の横を僕は恥ずかしくて歩きたくはなかった。

この季節になると父はまるで「地球防衛軍」のような姿になるからだ。

特殊装置でもついていそうなゴーグルを着装し、マスクは2重で隙間なく顔を覆い

ブロックスプレーを武器のように肌身離さず持ち歩き、それでいて10秒に1回爆音のくしゃみを放つ。


そう、父は重度の「花粉症体質」だった。


そして同じ立場に


いくら母から、「お父さんは花粉症がひどいから仕方ないの」と説明されても

子供心にそんな父の姿がやっぱり恥ずかしくて

「友達に見られたら嫌だなあ」とか「変な格好しないでほしいなあ」なんてずっと思っていて

できる限り父と出かけるのは避けたり、親子と思われないような距離をとって歩いたり

花粉症で苦しむ当事者の父と同じように、毎年この季節が憂鬱だった。


そしてある意味では、大人になった今でもこの季節がもっともっと憂鬱になった。


僕も今では重度の花粉症だから。



今ならわかる父の苦しみ


そりゃもうきついなんてものではない。

1日中眠気なのか痒みなのかわからない、あの目のシパシパ感。

鼻詰まりが苦しくて寝付けない夜。かと思ったら鼻水が止まらない日中。

TPOをわきまえずいつ暴発するかわからないくしゃみ


花粉症、これは辛すぎる。


そしてあの頃の父の気持ちが今同じ立場になってみて文字通り痛いほどよーーーーくわかる。

そりゃ地球防衛軍のような格好になってでも、少しでも苦しみからは逃れたいよな、、、

ごめんな父よ。わかってあげられないで、

「恥ずかしい」なんて言って。


娘には理解してほし父の気持ち


そんな僕も今ではすっかり地球防衛軍スタイル。

恥ずかしい なんて言っていられない。

とにかく花粉からなんとしても身を守ることが最優先だ‼︎

ゴーグルにマスク、花粉ブロックスプレーはマストだし、薬だって摂取しまくる。


どうか娘よ、そんな父の姿をみても恥ずかいしがらずにぜひ一緒に手を繋いで歩いて欲しい。


もしかしたら君も同じ立場になるのかもしれないのだから。




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