試験にはたぶん出ない古語クイズ(2022/07/22)

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 クイズの答えは「③エビス(恵比須)」でした。

「エビス(恵比須)」は鯛を抱えた男性の釣り人の姿で描かれる商売繁盛の神様で、七福神の一柱に数えられます。

【 原文 】
其(そ)の名を鸞岳(らんがく)と云(いふ)。彼(か)の岳(をか)には夷三郎(ゑびすさぶらう)殿と申す神を祝ひ奉り、岩殿と名付たり。

【 現代語訳 】
山の名は鸞岳(らんがく)と言います。夷三郎(えびすさぶろう)殿という神を祭っていることから岩殿とも呼ばれています。

(『源平盛衰記』)

 俗に「恵比須三郎(えびすさぶろう)」や「三郎殿」などと呼ばれますが、なぜ三郎(三男)なのかというと、「日本神話でイザナギとイザナミが生んだ子の三番目が蛭子(ヒルコ)で、漢字の読みから後にエビスと混同された」という説が有力です。

 一番有名なのは、エビスの総本社である西宮神社(西宮市)の由緒です。元は廣田神社(西宮市)の摂社で、「戎三郎社」と呼ばれていたことが知られており、主神は「えびす大神(蛭児大神)」です。

 ただ、この「エビス」がどのような神なのかについての定説はありません。

 先に挙げた西宮神社(西宮市)のように大和系の「ヒルコ」(イザナギとイザナミの子)とする説と、美保神社(松江市)や今宮戎神社(大阪市)のように出雲系の「コトシロヌシ(事代主神)」(オオクニヌシ(大国主神)の子)とする二つの説が有名ですが、他にも田の神や山の神を「エビス」と呼んだり、「オオクニヌシ(大国主神)」や葛城系の「ヒトコトヌシ(一言主神)」と同一視されているケースもあったりと、多方面の起源が混在しています。(この話題だけで本が何冊も書けます)

 それにもかかわらず、「エビス」という名前を聞いたときに、ほとんどの人が「恰幅がよくてにこやかな、釣り人の格好をした神様」という同じイメージを抱くことができるのは、民間信仰の神様としてとても成功しているとわたしは思います。

 余談ですが、東京渋谷区の「恵比寿」という地名は、明治から昭和まで「ヱビスビール」の工場があったことが元になっています。恵比寿駅の近くにある「恵比寿神社」は戦後に西宮神社からエビスを勧請したので、祭神は同じ「ヒルコ」かと思いきや「コトシロヌシ」だったりします。ちょっとややこしいですね。
(根拠のない憶測ですが、「八神」と呼ばれる天皇を守護する神々に「コトシロヌシ」が含まれているので、そちらに合わせたような気がします)


 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。


【 参考リンク 】
西宮神社の研究(※PDF):
https://nishinomiya-ebisu.com/ebisudb/data/003.pdf

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