現代語訳『さいき』(補足その1)
ここでは、何度か取り上げてきた「『さいき』改変説」について改めて整理をします。
現存する『さいき』にはいくつかの問題が存在し、複数の作者が関与した可能性を示唆しています。
上記の問題点は、改変前に以下の設定だったと仮定すると解消します。
仮に「鎌倉の鶴岡八幡宮」が初期バージョンだったとした場合、「京都の清水寺」に改変された理由については、鎌倉幕府の栄光に関する記述を消すためだった可能性が考えられます。つまり、初期版は鎌倉時代、現存する底本は室町時代に完成したことが推察できます。
また、タイトルになっている「佐伯」にほとんど魅力がなく、単なる狂言回しでしかないのに仏になったのも、本来はまったく別の設定だったかもしれません。その場合、鶴岡八幡宮は武家の守護神であることから、何らかの武功を立てた勇ましい武士だった可能性があります。
(鎌倉時代に九州での活躍というと、元寇(文永・弘安の役)が思い浮かびます)
それでは次回にまたお会いしましょう。
【 主な参考文献 】
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