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もう4度目の春

4月1日になった。

先日、SNSに学位証を片手に袴姿で笑顔の写真を載せていた同級生たちは新社会人になるらしい。
研修の後に東北へ行く人もいれば、関西から上京してくる人も何人かいる。出会った頃はまだ高校1年生だった子が、いつの間にか私より先に社会人になるらしいことも最近知った。

同じ方向を見て、共に歩んでいたと思っていたらいつの間にかみんなバラバラの道を歩んでいる。私の後ろを歩いていたと思ったら、気づいたら私が背中を見ている。

そんな私は、大学4年になる。

受験でヒイヒイ言っていたのがついこの間のような気でいるのに、もう大学で過ごす最後の年になってしまった。いやはや、まさかコロナで世界がこんなことになると思わなかったから、実質去年はほとんど無かったようなものなのだけど。

そして就活の真っ只中にいる。
色んな目を向けられる。同じく就活をする同期たちからは焦燥感のある眼差しを、就活を切り抜けた先人たちからは気の毒そうな眼差しを。

同時に様々な言葉をかけられる。何が正しくて、何を信じればいいのか分からないまま、私の信じる道が、やり方が合っているのかも分からないまま就活をしている。
正解がないのは分かっている。周りが言うことも間違ってないし、私のやり方だって間違ってはない。それでも、あまりにも、自信が無い。怖いな。

今はただただ、職にありつきたい。あわよくば希望の業界で。でもどうにか就職したとしても、そこでもソシャゲのガチャの如く運ゲーが待っている事実も知った。人間関係やら、仕事内容やら、思っていたのと違ったやら、エトセトラ、エトセトラ。

そんな見えないプレッシャーがのしかかる。
しんどいなあ。エントリーシートが通ってもテストにつまづく。つらいなあ。もう石焼き芋屋にでもなりたい。


私は就職をする道をヨタヨタと歩いている。周りを見ると、同じ道を歩いている友人たちがいる。でもそのスピードはまばらだ。少なくとも彼女たちの背中は私からすれば随分遠くなってしまった。

もう少し周りを見てみると、今度は院に進む友人たちがいる。コンスタントに美術館やギャラリーに出向き、自分の考えを持っていて、研究や論文に精を出している。学びたいことがまだあるという熱意。眩しいな、と思う。

大学1年の頃。まだ右も左もわからなくて、履修登録で四苦八苦していた時は確かに同じ道を同じ速度で歩いていたはずだった。それでもみんなそれぞれの道を行く。こんな経験、22年間で死ぬほど見てきたというのにまだ慣れない。

春は好きだ。でも苦手。
だって、寂しいじゃないですか。


私は来年の今頃どうしているだろう。
世界はどうなっているだろう。どうかどうか、今より明るいものでありますように。どうにかなっていますように。

大団円でありますように。

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