映画の感想『テロ、ライブ』
以前視聴した映画について、過疎ブログに書きなぐっていたものをちょっと清書してコチラにアレをします。
テロを中継しようとする野心家キャスターが主役ってのは珍しい
アマプラで『テロ、ライブ』という韓国映画を視聴。
過去に賄賂を受け取り、記者である奥さんの成果をも自分の功績としてのし上がるものの落ちぶれ、ラジオ番組のMCに成り下がった元キャスターの男が主人公。
全然面白くなさそうなラジオの生放送中に、スタジオからも目視できる橋に爆弾を仕掛けたという男からの電話が入り、適当にあしらうも本当に起爆され、2度の爆発で16人が橋の上で立ち往生、1人死亡するテロ事件に発展する。
主人公はこの犯人からのコンタクトをキャスター復帰の足掛かりにするために警察への通報よりも生放送で犯人との交渉に打って出た。
この主人公の心根の醜さと、後半明らかになる、テロ行為を働かざるを得なかった犯人がそこそこしいたげられてきたバックボーンなどが本作のキモ。
ほとんどスタジオ。密室劇なんだけど奥行きを感じる面白さ
この映画、主役は終始スタジオブースから出ることがなく、密室劇調なのが面白い。
他の登場人物は(それこそテロリストすら)スタジオに出入りするんだけど、肝心の主人公はブースの外に出ることがない。
個人的にはここが「こんな主人公には、テレビはもったいない。そのラジオ番組のスタジオがお似合いなんだよ」という印象をあたえることに成功しているんじゃねえかと思えたんだけど、果たして真相やいかに。
本作はテレビ番組上層部、政府高官なども登場。
腐敗した韓国の富裕層たちをややディフォルメしつつ描いているが、最終的には主人公に対して狙撃命令が出るなどもうめちゃくちゃ。
そういう意味では映画ならではの破天荒さがあるものの、主人公も犯人も根っこの部分では自分よりも強い人間に利用され尽くしている人物造形は共通しており、その最後の扱いも変わらない。
社会的に強いヤツと、弱い人がはっきり区分されて描かれている映画ということで、これは公開当時の韓国の反応といった部分も気になるところ。
今もこういうの作れるのかな。
とかく全然スッキリしない終わり方をする映画だけど、収賄が当たり前になっちゃって歴代の大統領が任期後大多数収監されるような国の作品と考えると、その後の大統領の罷免責任は避けられないはずなので、「そこまで描かれてほしい」と考えるのは蛇足かも。
CGのレベルも高く、割と古い映画の割には現代の作品と遜色がないのもポイント。
2013年公開
監督 キム・ビョンウ
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