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昨年の振り返りと本年の目標

 令和3年もあれよあれよという間に終わり、とうとう令和4年を迎えました。同時に、私が弁護士に登録して10年を経過したことにもなります。
 私が新規登録した当時、10年選手の弁護士の知識量や思考の柔軟性、そこから導かれる問題解決能力に感嘆したものです。
 しかし今、自分が果たして同じような姿を見せられているかというと甚だ怪しいところです。
 今回は、せっかくの節目の年なので昨年1年間の振り返りと本年の目標を書き留めておきたいと思います。

人との交流が多い年だった

 昨年1年間は、コロナ禍にもかかわらず多くの人と交流できた年になりました。
 理由は、私が所属する鹿児島法人会青年部会という団体で初めて役職を拝命したからです。
 具体的には、租税教育事業委員会という小学校向けに税金教室を行う部門の委員長職を任されました。
 その結果、ほぼ週に1回の割合で役員会やら委員会、例会などのために日程を空けなければならなくなり、非常に慌ただしい1年となりました。
 ただ、会のメンバーから多くの協力や助言をいただきながら実際に小学生のために税金に関する教材を作成したり、それを学校に提供したりできたことには非常に大きな充実感がありました。

経営を考えさせられた年だった

 昨年は人付き合いが多くなり、処理するタスク量も増えた年でしたが、その分だけ限られた時間をどのように効率よく業務に割いていくかということも意識させられた1年でした。
 弁護士に登録したての私は、とにかく興味がある分野であれば何にでも手を出していました。
 しかし私も弁護士になって10年。その間に結婚もし子どももできて家族の将来というものを考える立場になりました。
 私自身、今後も所属する団体の役職を任されるはずです。
 そうすると、1日24時間・1年365日のうち私が自由に使える時間はとても少なくなるはずです。
 他方で、家族を守るために必要となる費用は今後も増え続ける一方となるでしょう。
 必然的に、駆け出しの頃には考えなかった「経営」という問題について強く意識するようになりました。
 自分1人で事件を得て、書面を作成し、事務を処理するというサイクルが難しくなる、だからこそ上手くシステム化したり外注化したりできるようにならなければならないと感じた1年でした

今年の目標

 このように昨年の1年間を踏まえて、今年の目標は①案件数を絞っていく、②事務マニュアルを作っていく、③新規分野の開拓を行っていくの3つにしたいと思います。

今年の目標①:案件数を絞っていく

 昨年を振り返って改めて思ったことは、案件数が増えすぎてしまうとあらゆる面で余裕がなくなるなという点でした。
 業界団体のタスクもある、家事・育児も少しは手伝わなければならない、書面の締切りは迫っている、といった状況が一斉に迫ってくると頭がワーッとなってしまい何も手につかなくなってしまう、今年はそういうことに陥りかねない時期が何回かありました。
 それらはGoogleカレンダーなどで予定を一覧化する、できるだけ日々の出来事を日報に残す、といった形で何とか対処しましたが、今、改めて1年間の予定を見直すと、そもそも自分で抱えている案件数が既に能力に見合わないほどに多くなっていることに気付きました。
 仕事だけ何時まででもしていれば許されていた時代と異なり、私に求められている役割も多方面で増えています。
 そういう状況でこれまでの案件数を維持するというのはミスの温床になりかえって依頼者様に不誠実となってしまいます。
 今後は、案件数を絞って選択と集中で丁寧な仕事を心がけていきたいと思います。

今年の目標②:作業マニュアルを作っていく

 今年は案件数を絞ると同時に、事務用のワークフローを作っていきたいと考えています。
 これまでは、ほとんど私ひとりの事務所ということもあって、事務は我流で処理していたのですが、業務管理ソフトを利用し始めてからは定型的な書面についてはソフトの方で作成してくれるようになりました。
 他にも、業務指示や連絡についてはchatworkを使うことでスムーズかつ正確に行えることが分かりました。
 そこで、この機会に事務所内で業務管理ソフトを中心とした作業マニュアルを作っていき、私の本来業務に割ける時間をもっと増やしていきたいと考えています。

来年の目標③:六法の学び直しと新分野を開拓する

 案件数の制限と作業マニュアルで空いた時間は、六法の学び直しと新しい分野の学習に割いていきたいと考えています。
 近時は多くの法令で改正が相次いでいます。他方、私が司法試験に合格してからすでに10年+1年を経過しています。最近の基本書の事情など私にはさっぱり分かりません。自分の知識が陳腐化していっている感覚があります。改めてしっかりと学び直す必要があると感じているところです。
 同時に、これまで私は自分の好みもあって労働法分野を中心に研鑽を積んでいましたが、コロナ禍において地域社会で発生する法的問題に深く対応するためには財務・会計も学ぶ必要があると感じました。
 たとえば、整理解雇が問題となる場面などです。
 整理解雇が有効となるためには4つの要素(①人員削減の必要、②解雇回避努力、③人員選択の合理性、④手続的相当性)が必要とされます。そのことは私も弁護士として当然知ってはいます。しかし、いざ整理解雇の有効性が問題となった場合、経営危機を自称する企業を相手に上述の4要素をどのように当てはめるのか。そのためには対象企業の財務諸表を正確に読み取り分析できる必要があります。
 これまで、中小企業の整理解雇は遊休資産の売却や役員報酬の減額などもないまま行われることが多いでした。そのような場合ですと、上述の4要素については何一つ満たしていないことが明らかです。そのため、これまでは労働者側の強気の交渉が通用していました。
 しかし、コロナ禍が長引く現在、本当に経営状態が苦しくなっている企業は多いはずです。そうなると、もしかしたら裁判所もこれまでよりも緩やかに整理解雇を認めてくるかもしれません。
 そのような社会情勢のなか、本当にその企業は整理解雇しなければならないほどに苦しい状態にあるのか、そして、そのことを私が自分の言葉で自信をもって説明できるのか。そう考えていったとき、私自身が財務・会計を理解しておく必要があると感じるようになりました。
 このような次第で、今年は空いた時間で六法の学び直しと新規分野(特に財務・会計)の開拓に努めてまいる所存です。

最後に

 以上、昨年の振り返りと本年の抱負を述べてみました。
 私自身、ずいぶんと壮大な目標を抱いてしまったと思います。
 しかし、単に考えているだけでは行動には表せません。
 少しずつでも自分のやりたいこと、やるべきだと考えることを表に出し、言ったからにはその姿に近づいていく、そういうことを積み重ねていく1年にしたいところです。

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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