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Phoebe Snow. Second childhood (1976)

全然知らない人の知らないレコードでしたがレコード屋で何故かジャケが気になって手に取り裏ジャケを見るとスティーブガッドやジョントロペイ、リチャードティー、ロンカーターなどの聞き馴染みのあるクレジットが。聴いてみるとフォークをジャズやソウルでコーティングした温もりのあるサウンドに夢中になってしまい今ではレコード屋で見つけたら多少予算オーバーしていても買ってしまうほど好きになってしまいました。

メンバー
フィービスノウ:ギター、ボーカル
トニーレヴィン(1、2、8)、ウィルリー(4、6、9、10)、ゴードンエドワーズ(5):ベース
ロンカーター(3)、リチャードデイヴィス(7):ウッドベース
スティーブガッド(1、2)、ジミーヤング(4、6)、グラディテイト(5、8、10):ドラム
ジョントロペイ(1、8)、ヒューマクラッケン(2、5、8):ギター
ケンアッシャー(1):エレピ
ドングロルニック(4、6、9、10):エレピ、アコースティックピアノ
リチャードティー(2、5、8):エレピ、オルガン、アコースティックピアノ
デイヴィッドサンボーン(1、5):サックス
ラルフマクドナルド(2、3、6、7):パーカッション
ジェロームリチャードソン(10):フルート
ハワードジョンソン:チューバクインテット指揮
ジェシーディクソンシンガーズ:バッキングボーカル
パットウィリアム:オーケストラ

Two fisted love
切ないも気だるいバラードナンバー。繊細な演奏が上手くいかない恋を歌った歌詞にクロスしています。中盤のソウルフルなサックスソロはデイヴィッドサンボーンです。(クレジットではデイブサンボーンとなっていますが間違いなく同一人物でしょう)

Cash in
メロウなバラードナンバーですがドスン、ドスンと丁寧なバスドラはスティーブガッド。後半のバッキングとリードボーカルの掛け合いが印象的です

Inspired insanity
ギターと静かなオーケストラだけの素朴な曲。クールでありながらも暖かみがあるサウンドはこの頃のNY録音のSSWたちの曲ではよくありますが彼女の歌声が1番その雰囲気にあっています。

No regrets
1936年のヒット曲のカバー。イントロはキラキラしたエレピがメロウですがリズムが入ると一気にジャジーに。懐かしいサウンドと当時の流行りのサウンドを上手くミックスしています。

Sweet disposition
ファンキーでロックっぽい曲ですがザバンドやタジマハール、ギルエヴァンスとの活動が有名なチューバ奏者ハワードジョンソンによる5人のチューバセクションが入る珍しい楽器編成です。1人でも珍しいうえにチューバは大きいので5人のチューバ奏者がスタジオにいる様子は圧巻だったはずです(見てみたかった)。ハワードはアレンジのみでクレジットされていますが演奏もしている気がします。ここでもデイヴィッドサンボーンのサックスのソロが印象的です。

All over
聴いていて楽しくなってくるほんのりラテン風の明るい曲。ラテンとはいえ陽気にしすぎずメロウでどこか切ない雰囲気です。

Isn’t it a shame
コンガと2本のギター、アコースティックベースだけというシンプルな編成ながらもフォーク、ジャズ、ソウルをミックスしたような演奏とフィービの時にはコクがあり時には切ない歌が印象的です。

Goin’ down for the 3rd time
モータウンのH-D-Hの曲でオリジナルはスプリームス。ソウルフルな歌と演奏がかっこいいです。特にグラディのタイトなドラミングとアコースティックピアノとオルガンの両方で存在感を見せるリチャードが印象的です。もちろんフィービの歌もソウルフルな熱唱で最高です。

Pre-down imagination
ジャジーなピアノが印象的な気だるげな曲。前の曲が派手だったのでライブの後誰もいないステージで歌っているかのようです。

There’s a boat that’s leaving soon for Newyork
ガーシュウィン兄弟がオペラポーギーとベスのために書いた曲。オルゴールのような音色のエレピソロからビックバンドが入ってきます。本当は好きな異性を威勢よくニューヨークへ連れて行く歌ですが気だるいので言われたことを思い返して迷っているかのようです。

コネクション:トニーレヴィンのお仕事
キングクリムゾンのベーシストとして有名なトニーレヴィンですが彼はアメリカ出身でチャックマンジョーネのバンド加入後、フュージョンやジャズ色の強いSSWのアルバムに多く参加していました。謎楽器チャップマンスティックの使用やジャズ由来の高度なベースプレイがプログレとの相性がよかったことが加入の決め手かもしれません。ちなみにウェザーリポートで活躍したベーシストであるアルフォンスジョンソンもチャックマンジョーネのバンドに参加、チャップマンスティックの使用、断りはしたもののプログレバンドのジェネシスへの参加打診と共通点が多いです。