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水の空の物語 第1章 第7話

「あの、聞いてもいいですか?」

 風花は恐る恐る切り出した。七回など、どうしても信じられない。

「ねえ、飛雨くん。そんなにいつ、どこで。……あれ?」

 隣にいたはずの飛雨がいなくなっていた。

 あたりを見まわすと、十メートルくらい離れた川岸に寝転がり、川面を見つめている。

「……」

「ほっといてあげて」

 スーフィアは弟を見るような瞳をした。

「あれは瞑想。ああやって懺悔しているのよ。飛雨は夏澄に心底憧れてるの。夏澄みたいに柔和になりたいのよね」

「そうなんですか」

「でも、すぐ癇癪起こしちゃって。その度に谷間に落ちたみたいに悶々とするの」

 あのポーズで懺悔?

 風花は見ないふりをすることにした。



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