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【観劇】『斬られの仙太』

2021年4月8日(木)13:00〜
A席:7700円 B席:3300円 Z席:1650円
【作】三好十郎
【演出】上村聡史
【キャスト】青山 勝/浅野令子/今國雅彦/内田健介/木下政治/久保貫太郎/小泉将臣/小林大介/佐藤祐基/瀬口寛之/伊達 暁/中山義紘/原 愛絵/原川浩明/陽月 華/山森大輔

伊達暁さん主演というのでチケットを取ったが、上演時間が4時間20分(休憩20分×2回含む)と聞いてちょいと怯む。えい、買っちまったものぁ仕方ねえ。と腹ァくくって観てきたぜ。
客席の年齢層はかなり高く真っ白な頭の方もたくさんみえたけれども、長時間の観劇は大変だったんじゃないかしらん。

注・この先ネタバレ有り

<あらすじ>
時は江戸末期から明治にかけて。常陸の国の水呑み百姓・仙太郎はあまりの凶作に年貢の減免と取立の猶予をお上に訴えるが、この地の有力者・北条の喜平はそれを許さず、彼を村から追い出してしまう。復讐を誓った仙太は江戸で剣法を学び、博徒となって故郷へと戻る道すがら、ひょんなことからとある茶屋で頼まれごとをされ、それをきっかけに水戸天狗党絡みの騒動へと巻き込まれていく。仙太の剣の腕と男気を目の当たりにした党から是非同士にと勧誘を受けた仙太は、党の斬り込み隊長として次第にその名を高めて行く・・・・・・。 (公式サイトより)

確かに長丁場。しかし心地よい疲労感。
勢いでぐいぐいと魅せてくれるので苦痛ではなかった。助かった。

まず驚いたのはむちゃくちゃ傾斜のきつい八百屋舞台(舞台奥が高く手前が低いスロープになった舞台のこと)。ほとんど滑り台のよう。実際小道具の芋が落ちたときは、一番上から下までコロコロと転がっていった。刀までもがパタンパタンと・・・(物語の筋を追うよりついそっちに気が向いてしまった)
殺陣のシーンもかなりあるので、この傾斜は相当キツイだろうな・・・。

そして最初のセリフから、聞き慣れない単語と時代がかった言い回しで「???」となった。
役者さんの滑舌が悪いとかではなく、アタシが浅学ゆえ半分以上理解できず。焦ったけど、すぐ「ふんわり聞いてても筋はなんとなく判るだろう」開き直ったw 実際ちゃんと話についていけたし、ちゃんと楽しめた。

そんな私でも天狗党といえば結末は悲劇だと・・・覚悟していましたが遣瀬ない。
わりと政治的なお話でもあったけど、結局仙太は政治を見限った(理解はしない)ところも物悲しい。剣の腕が立つだけでいいように使われた岡田以蔵なんぞが頭をよぎったり。
大局を知らぬ農民と、知ったつもりの武士と。まあそもそも混沌の時代だけど、逆にいま現在とリンクするところが多々あるのが怖いなあ、などと。

フルオーディションとあって、キャストのみなさんパワフルで魅力的で素晴らしい。役者さんたちの演技を堪能した。
木下のアニキとくぼかん、いつになく?いや失礼、相変わらずカッコイイw
青山さんの盤石な感じ。

そしてやはり伊達さんが素敵すぎた・・・佳き・・・。
立居振る舞い、身のこなし、表情。匂い立つ色香よ。はあ、素敵。
股引きに手甲脚絆での立ち回りは性癖すぎてやばかったっすw

ラストシーンでは老いた姿の仙太。
ええ、あんなに斬られたのに? 首やら背中を袈裟がけにバッサリやられたのにまさか生き延びたとは。意外と浅手だったのかしら。むむ?

「人を思うちから 其の壱」という冠がついているけど、シリーズの其の弍、其の参もあるそう。
さて、人を思うちから、かあ。観劇後に思い返してみてもコレはあまりしっくりは来なかったけど、でも人間を描いたら大体そうなんじゃないかねえ。はて。

長尺、ちゃんと観られたけどやはり長いなーー。もとは7時間のものを3時間40分に縮めたとは言え、ところどころ冗長に感じるところもあった。もう少し短くできるのでは。(一瞬気を失いそうになること2回ほどあった・・・)
まあ長いからこその壮大な感じ、大河ドラマを見たような満足感もあるけれど。どっちも有りか。

迷ったけど観て良かった。
良かったけれども、やはりもうちょい歴史に明るければもっと面白がれただろうにな。
今やっている大河ドラマもちょうどこの辺りらしい。3、4話で脱落しちゃったけど、大河を観てたらより楽しめたかもね。アタシが観たのは8日だったけど、11日の放送は桜田門外ノ変だったそうで、ドンピシャ! 1週間はNHKプラスで見られるからチェックしとこうかしらん。

当日配布のキャスト表と相関図はありがたい。隣席のご夫妻は上演中もそれを見て確認していたw
欲を言えば用語集(販売パンフには掲載)と当時の社会情勢のざっくりとした説明などもあればなお良かったですね。
あと、パンフのキャストの写真はマスク取って欲しかったな。ちゃんとお顔を見たかった。

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