新型コロナウイルス感染症とお酒の時系列 2020-2021 【首都圏編】

最終更新:2021年10月01日

2020年2月に新型コロナウィルスの感染が国内に広がり始めてから一年半ほど経ちました。最近はなかなか外にお酒を飲みにいけなくなっていますね。そういえば、お酒の提供はいつ頃、どんな制限がかかっていたかな、と思い返してみると、この僅かな期間でもすでに色々と細かいところを忘れてきていることに気づきました。これはよろしくないな、と、資料等照らし合わせてまとめてみました。

これが思ったより大変な作業で全国まで手が回らず、まずは首都圏一都三県のみとなってしまいました。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の推移は内閣官房新型インフルエンザ等対策室のサイトによくまとまっているのですが、お酒の提供をどうするかは都道府県の知事に裁量があるため、都道府県ごとの情報を追う必要があります。自治体ごとに発表形式が違ったり、自治体によっては新たな対応策を過去の情報に直接追記していて新旧の時系列が不明確だったり、そこから情報を抽出してまとめるのはなかなか骨の折れる作業でした。本当は北海道、関西圏、沖縄など、首都圏とはまた違った傾向で感染が推移している地域もまとめたいんですけどね。それはまた追々ですね。

まとめるにあたり、取り上げたのは主に政府や都道府県による飲食店への働きかけに絞りました。これは根拠となるリソースが比較的信頼度高くまた参照しやすいこと、これ以上の粒度に踏み込むと収集がつかなくなること、などが理由です。また、それぞれのネガティブポジティブにはできるだけ踏み込まず、フラットに、あったことを記録する形を取りました。お酒好きとして思うところがないわけは決してないのですが、それはまた別のお話。とはいえ、言葉のチョイスに何らかあらわれていたらご容赦ください。まずは、これまでのことを振り返って今後を考えるベースになればと思います。

情報源

■ 内閣官房新型インフルエンザ等対策室
■ 東京都:東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議・東京都危機管理対策会議・東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会資料
■ 埼玉県:今までの埼玉県における緊急事態措置等及び呼びかけ
■ 千葉県:新型コロナウイルス感染症に関する要請及び県民への呼びかけ/一覧
■ 神奈川県:新型コロナウイルス感染症対策に関する本部会議の資料等について

一覧表(まとめ)

首都圏一都三県での新型コロナウイルス感染症とお酒の時系列はこちらの一覧にまとめました。ある意味これを見ていただければ十分といえば十分なのですが。

■ 2020-2021 COVID-19と国内酒類提供制限の変遷 : 首都圏(最終更新:2021-10-01)

次の章から、この一覧の内容をいくつかのフェーズに切って整理していきます。各項目の根拠となるリソースは上記の一覧に載っていますので、そちらを参照してください。誤りがあったらコメントなどで教えていただけるとありがたいです。

2020年4月、一回目の緊急事態宣言(全国)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するため、2020年3月に感染症法、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正されました。4月7日、改正法を適用して初の緊急事態宣言が一都六県に発出されました。緊急事態措置の開始時点ではお酒の提供に制限はありませんでしたが、各県がそれぞれ基本的対処方針を更新し、宣言発出からまもなく飲食店の営業に制限がかかります。

■ 2020年4月7日:一都六県に緊急事態宣言発出。
■ 2020年4月11日:東京都、飲食店へ 05:00-20:00 の営業時短要請。お酒の提供は 19:00 まで。
■ 2020年4月11日:神奈川県、飲食店へ 05:00-20:00 の営業時短要請。お酒の提供は 19:00 まで。
■ 2020年4月16日:埼玉県、お酒の提供は 19:00 まで。
■ 2020年4月18日:千葉県、お酒の提供は 19:00 まで。

この時期に特筆すべきは、国税庁が打ち出した飲食店がお酒の持ち帰り販売をできるための期限付き酒販免許と、醸造酒を消毒用アルコールに転用するための特例措置です。なんと一都三県が時短要請を出すよりも先に開始されていたんですね。

■ 2020年4月10日:国税庁、飲食店でのお酒持ち帰りの特例措置開始
■ 2020年4月10日:国税庁、醸造酒を消毒用アルコールに転用するための特例措置開始

2020年5月、緊急事態宣言の解除

一時全国が対象となった緊急事態宣言は、都道府県ごとの感染状況に基づいて段階的に解除されていきました。そして5月25日にすべての都道府県で緊急事態措置の適用が終了します。

■ 2020年5月25日:全都道府県で緊急事態宣言の解除

しかし飲食店の営業時間に対する制限は残りました。念の為、これらはいずれも新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態措置には基づかない要請です。

■ 2020年5月26日:東京都、飲食店への営業時短要請を 05:00-22:00 に緩和(2時間延長)。お酒の提供も 22:00 まで。
■ 2020年5月26日:埼玉県、お酒の提供時間を 22:00 までに緩和(3時間延長)。
■ 2020年5月26日:千葉県、お酒の提供時間を 22:00 までに緩和(3時間延長)。
■ 2020年5月26日:神奈川県、飲食店への営業時短要請を 05:00-22:00 に緩和(2時間延長)。お酒の提供も 22:00 まで。

その後、東京が 1 ステップ挟みつつ、6月19日には一都三県全ての飲食店に対して営業時間、お酒の提供時間の制限が撤廃されました。

■ 2020年6月12日:東京都、飲食店への営業時短要請を 05:00-24:00 に緩和(さらに2時間延長)。お酒の提供も 24:00 まで。
■ 2020年6月12日:埼玉県、制限撤廃。
■ 2020年6月12日:千葉県、制限撤廃。
■ 2020年6月19日:東京県、制限撤廃。
■ 2020年6月19日:神奈川県、制限撤廃。

2020年11月、年末年始の感染拡大に警戒感

その後も8月前後にかけての第二波などの陽性者数の増減や、10月1日からの Go To Eat キャンペーンなど飲食店に対する取り組みもありつつ、2020年11月くらいから陽性者数が再び増加し始めました。第三波の始まり頃ですね。このあたりから「年末年始の忘新年会シーズン、大丈夫?」という雰囲気が漂い始め、各都道府県が対応に動きます。まずは東京都が一部地域のお酒を提供する飲食店に時短要請を出したのを皮切りに、12月7日までに一都三県全てで何らかの要請が出ました。

念の為、これらすべて新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態措置を根拠としない要請です。

■ 2020年11月28日:東京都が、23区、多摩地域のお酒を提供する飲食店に 05:00-22:00 の時短要請。
■ 2020年12月02日:千葉県が、市川市、浦安市、習志野市、八千代市、鎌ケ谷市、船橋市、柏市、野田市、松戸市、流山市、我孫子市の飲食店にお酒の提供を 22:00 までにするよう要請。
■ 2020年12月04日:埼玉県が、さいたま市大宮区、川口市、越谷市内のお酒を提供する飲食店に 05:00-22:00 の時短要請。
■ 2020年12月07日:神奈川県が、横浜市、川崎市のお酒を提供する飲食店に 05:00-22:00 の時短要請。
■ 2020年12月28日:千葉県が、対象地域に千葉市を追加。お酒を提供する飲食店に 05:00-22:00 の時短要請(対策強化)。

そのまま、年末年始のおやすみモードに突入していきます。

2021年1月、二度目の緊急事態宣言

年末年始も陽性者数の数字は落ち着かず、年明け早々に二度目の緊急事態宣言となりました。実は東京都と千葉県は緊急事態宣言よりも前に別の対処方針強化を打ち出そうとしていたのですが、年始であることも影響してか発表から適用まで時間もかかり、最終的には個々の対処方針を撤回して一都四件で足並みをそろえて緊急事態宣言となりました。

この際、東京以外の三県は緊急事態措置を二段階に分けて適用しています。まず 1月8日に、それまでにすでに何らか要請が出ていた地域の対応を緊急事態措置相当に強化し、続いて1月12日に県内全域に適用区域を拡大する形を取りました。こうした対応は、それまで措置区域外だった飲食店が準備期間を確保できるようにするためだったと記憶しています。

ここからは各都県とも、新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態措置に基づく要請となります。

■ 2021年1月8日:東京都、全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00。

■ 2021年1月8日:埼玉県、さいたま市大宮区、川口市、越谷市内のお酒を提供する飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00。
■ 2021年1月8日:千葉県、千葉市、市川市、浦安市、習志野市、八千代市、鎌ケ谷市、船橋市、柏市、野田市、松戸市、流山市、我孫子市のお酒を提供する飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00。
■ 2021年1月8日:神奈川県、横浜市、川崎市のお酒を提供する飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 19:00 まで。

■ 2021年1月12日:埼玉県、千葉県、神奈川県が、全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00。

2021年3月、緊急事態宣言の解除と特措法に基づく命令措置

二度目の緊急事態宣言は一時最大で11都府県が措置区域となりました。その後は段階的に解除されるも首都圏一都三県は最後まで措置区域に残り、3月21日に解除されるまで73日間に渡りました。

■ 2021年3月21日:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県の緊急事態措置が終了し、全国すべての都府県で措置区域がなくなる

しかし、一回目の緊急事態宣言と同様に飲食店への要請は緩和されつつ継続しました。ここからは新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態措置を根拠としない要請です。

■ 2021年3月22日:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一都三県とも、全域の飲食店に 05:00-21:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-20:00(それぞれ1時間延長)。

この緊急事態措置の解除直前に、東京都が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく命令措置を出しました。

■ 2021年3月18日:東京都が緊急事態宣言に基づく営業時間短縮の要請に応じない27施設に命令措置を実施

これは新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく命令措置として全国初のケースです。このことから、二回目の緊急事態措置では時短要請やお酒の提供制限の要請に応じない飲食店が一定程度あらわれていたということがわかります。今回の時系列ではカバーしきれていませんが、都道府県からの要請に応じることを条件に、飲食店に対して補助金が支払われてきました。その額や支払いタイミングなどの問題点も指摘されている中、売上や固定費と補助金、そして罰則(事業者あたり最大30万円の行政罰)とのバランスなどを加味して、要請に応じずに営業を行う判断を行った飲食店が少しずつ増えはじめ、一部目立つケースが報道などでも取り上げられたのがこの二回目の緊急事態宣言の時期でした。

2021年4月、初のまん延防止等重点措置

緊急事態措置は終了したのですが残念ながら陽性者数は収まらず、翌月すぐに初のまん延防止等重点措置が適用されることになります。

■ 4月12日:東京都、23区、八王子市、立川市、武蔵野市、府中市、調布市及び町田市の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00(それぞれ1時間短縮)。それ以外の地域は従前の措置継続。
■ 4月20日:千葉県、市川市、船橋市、松戸市、柏市、浦安市の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00(それぞれ1時間短縮)。それ以外の地域は従前の措置継続。
■ 4月20日:神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00(それぞれ1時間短縮)。それ以外の地域は従前の措置継続。

まん延防止等重点措置は2021年2月に新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正して新設された新たなレベルの対応策で、緊急事態措置に至る前の段階で適用され、都道府県内をさらに細分化して措置区域を定めることができるとされていました(緊急事態宣言でもそれは知事の裁量で可能だったはずなんですが)。また、この時点では内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長より『法第 31 条の6第1項に基づき要請することができる「営業時間の変更」は、休業まで至らない営業時間の制約を想定している』との見解が出されていました。これはすぐに実質的に死文化することになります。

また、前年の4月より設けられていた国税庁による飲食店でのお酒持ち帰りの特例措置は、まん延防止等重点措置が適用される直前の3月31日までですべての許可の期限が切れました。以降もお酒のお持ち帰りを行いたい飲食店は、それぞれ正式な酒販免許を取得することになります。

2021年4月、東京都に三度目の緊急事態宣言

まん延防止等重点措置の適用からまもなく、東京都に三度目の緊急事態宣言が適用されることになりました。それに伴い東京都の要請も強化されて、とうとう休業まで踏み込むことになりました。

■ 2021年4月25日:東京都、全域の酒類を提供する飲食店に休業を要請

他の業態ではこれまでもありましたが、飲食店全般に出された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業要請はこれが初でした。

残る首都圏三県はまん延防止等重点措置のままで据え置かれたのですが、ここで三県とも東京都の対処方針を追うように重点措置のまま酒類提供の停止要請に踏み込みます。

■ 2021年4月28日:埼玉県が、さいたま市及び川口市、川越市、所沢市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、富士見市、ふじみ野市及び三芳町の飲食店に 05:00-20:00 の時短営業、お酒の提供は終日自粛するよう要請。それ以外の区域は 05:00-21:00 の時短営業要請で、加えて酒類提供は一人、同居家族に限り可能とする。
■ 2021年4月28日:千葉県が、千葉市、市川市、浦安市、習志野市、八千代市、鎌ケ谷市、船橋市、柏市、野田市、松戸市、流山市、我孫子市の飲食店に 05:00-20:00 の時短営業、お酒の提供は終日停止するよう要請。それ以外の区域は従前どおり 05:00-21:00 の時短営業要請、お酒の提供は 11:00-20:00。
■ 2021年4月28日:神奈川県が、横浜市、川崎市、相模原市、鎌倉市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市の9市町の飲食店に 05:00-20:00 の時短営業、お酒の提供は終日停止するよう要請。それ以外の区域は従前どおり 05:00-21:00 の時短営業要請、お酒の提供は 11:00-20:00。

前述の通り重点措置では休業の要請までは踏み込めないことになっていました。これら対処方針もあくまで「酒類提供の停止の要請」の体を取り、休業の要請ではない、という形式のため、制限されたケースには当たらないとされています。しかし、お酒の提供が前提となる業態からは、実質の休業要請と何ら変わらないという反発もありました。

また、千葉県に見られるようにお酒の提供に条件がつくようになってきたのもこのあたりからです。

ここから、各県がこまめに対処方針をアップデートしていくので追うのが大変になります。埼玉県が措置区域外の対処方針を少し強めに調整し、神奈川県は二段階で措置区域を拡大します。

■ 2021年5月12日:埼玉県、措置区域外のお酒の提供を 11:00-20:00 に制限。
■ 2021年5月12日:神奈川県、措置区域に横須賀市、藤沢市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、伊勢原市、葉山町、寒川町を追加し計17市町に。引き続き飲食店に 05:00-20:00 の時短営業、お酒の提供は終日停止するよう要請。
■ 2021年6月1日:神奈川県、措置区域に平塚市、小田原市、秦野市を追加し計20市町に。引き続き飲食店に 05:00-20:00 の時短営業、お酒の提供は終日停止するよう要請。

その後少し数字が落ち着いたのか、千葉が少し対処方針を緩和します。

■ 2021年6月18日:千葉県、措置区域を千葉市、市川市、船橋市、木更津市、松戸市、習志野市、市原市、君津市、富津市、浦安市、袖ケ浦市の11市に変更し、飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00に緩和し(お酒提供の再開)、滞在時間やグループあたりの人数に制限を追加。

2021年6月、東京都三回目の緊急事態宣言を解除

そしてまもなく東京都も緊急事態宣言が解除されてまん延防止等重点措置の対象に変わり、お酒の提供が再開されます。

■ 2021年6月21日:東京都、23区及び檜原村、奥多摩町を除く多摩地域の市町の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00に緩和し(お酒提供の再開)、滞在時間やグループあたりの人数に制限を追加。

同時に埼玉県と千葉県も対処方針を緩和、お酒の提供を再開します。

■ 2021年6月21日:埼玉県が、措置区域をさいたま市及び川口市に縮小し、飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00に緩和し(お酒提供の再開)、県の認証を条件に一人、もしくは同居家族に限り認める。措置区域外の飲食店は 05:00-21:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-20:00に緩和し、県の認証を条件に四人、もしくは同居家族に限り認める。
■ 2021年6月21日:神奈川県が、措置区域を横浜市、川崎市、相模原市、小田原市、厚木市、座間市に縮小し、飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00に緩和し(お酒提供の再開)、滞在時間やグループあたりの人数に制限を設ける。措置区域外の飲食店は 05:00-21:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-20:00に緩和し、滞在時間やグループあたりの人数に制限を設ける。

埼玉県が「彩の国『新しい生活様式』安心宣言飲食店+(プラス)」の認証をお酒提供の条件として求め始めました。千葉県はもともと条件付きでお酒の提供を認めていたためか、この時点での対処方針変更はありませんでした。

この東京都三回目の緊急事態措置のタイミングでは、埼玉、千葉、神奈川の三県はまん延防止等重点措置までで、緊急事態措置までは適用されませんでした。

2021年7月、東京都に四度目の緊急事態宣言、対応策強化の模索

残念ながら陽性者数の数字が再び上昇し、解除から一ヶ月を待たずに東京都に四度目の緊急事態措置が適用されることになりました。この間、沖縄県が継続して緊急事態措置の措置区域となっていたり、全国的に見ると特にこの時期が小康状態だったというわけでもありませんでした。

■ 2021年7月12日:東京都、全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請、酒類の提供は終日停止

逆に千葉県と神奈川県は重点措置の対処方針を少し緩和しました。

■ 2021年7月12日:千葉県、措置区域を千葉市、市川市、船橋市、松戸市、成田市、習志野市、柏市、市原市、浦安市に縮小(11市 -> 8市)。
■ 2021年7月12日:神奈川県、措置区域を横浜市、川崎市、相模原市、厚木市に縮小し、飲食店に 05:00-20:00 の時短要請。お酒の提供は 11:00-19:00 に限り、マスク飲食実施店のみとし、滞在時間、人数などを制限。

神奈川県も「マスク飲食実施店」を条件としたお酒の提供となりました。

一方、この緊急事態宣言の発出に先立って、対策の強化を模索する動きがいくつかありました。まず、政府の基本的対処方針の更新により、まん延防止等重点措置でお酒の提供が原則停止となりました。これまでは原則提供可能(一定の条件付き)で、知事の裁量で停止を要請できるとなっていましたが、ここからは原則停止で、知事の裁量で一定の条件のもとお酒の提供ができる、と変更になりました。

さらに大きな動きだったのが、政府から金融庁と国税庁を経由して行われた飲食店への働きかけです。7月8日に政府から2つの通達が出され、一つは金融庁から各金融機関に対して都道府県からの要請に応じない飲食店への働きかけを求める通達、もう一つは国税庁経由で酒類の卸販売業者に対して都道府県からの要請に応じない飲食店との取引を停止するよう求める通達でした。これは大きな反響を呼び、結果的には7月9日に金融庁経由の通達が、7月13日には国税庁経由の通達が、それぞれ撤回される結果となりました。この一連の流れについての議論は色々ありますが、少なくとも、この時点ではすでに都道府県からの時短要請、酒類提供停止の要請に応じない事業者が少なくない程度あらわれていたこと、また政府がこのことの影響を重要視していて何らか対応を取れないか模索したこと、この2つを裏付けます。残念ながらこのあたりでやり取りされた文書が go.jp のサイトで見つけることができず、詳細な経緯は追いきれませんでした。

2021年7月、引き続き感染拡大と対策の強化

東京都はすでに緊急事態宣言となっていたので対策の強化は頭打ちでしたが、他の三県はまん延防止等重点措置のなかで対処方針の強化を模索しました。

■ 2021年7月19日:千葉県、措置区域に八千代市、鎌ケ谷市を追加し、(8市 -> 11市)、引き続き 05:00-20:00 の時短要請、お酒の提供は 11:00-19:00、滞在時間やグループあたりの人数に制限。
■ 2021年7月20日:埼玉県、措置区域に川越市、所沢市、春日部市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、八潮市、富士見市、三郷市、鶴ヶ島市、ふじみ野市、伊奈町及び三芳町を追加(2市 -> 20市町)。

ここで千葉県は反対に、措置区域外については対応を緩和します。

■ 2021年7月21日:千葉県、措置区域外について千葉県飲食店感染防止対策認証事業の認証があれば営業時間、お酒の提供時間ともに制限を設けない。

埼玉県と神奈川県は認証をお酒の提供のボトムラインとして活用したのに対して、千葉県は認証があればお酒の提供を無制限で認めるというかなり踏み込んだ活用方法でした。

一方、神奈川県は重点措置での酒類提供方針の原則変更を活用してお酒の提供を止め、加えて認証制度の活用も止めました。

■ 2021年7月22日:神奈川県、措置区域を清川村を除くすべての地域に拡大し、05:00-20:00 の営業短縮とお酒提供の終日停止を要請(認証による緩和は停止)。

2021年8月、緊急事態宣言の拡大

こうした対応をとりながらも、変異株の影響などもありさらなる措置が必要な状況となり、東京都に加えて、三県にも緊急事態措置が適用されました。

■ 2021年8月2日:埼玉県、全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請、酒類の提供は終日停止
■  2021年8月2日:千葉県、全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請、酒類の提供は終日停止
■ 2021年8月2日:神奈川県、全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請、酒類の提供は終日停止

千葉県が行っていた認証制度の積極的な活用は、この緊急事態措置の適用により上書きされてしまいました。

その後、8月27日には各道県の緊急事態措置への移行、まん延防止等重点措置への追加がありましたが、首都圏の対応状況は引き続き変わらずでした。

2021年10月01日、現在、全国の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の一斉解除、リバウンド防止期間、認証制度の活用。

8月下旬くらいから新規感染者数の減少が加速し、また医療提供体制も改善してきたことから、9月30日をもって全国すべての緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が一斉解除されました。ただし依然としてリバウンドが懸念されるため、すべての制限を一斉に取り払うのではなく各都道府県が「リバウンド防止期間」などとして一定程度の制限を維持しつつ段階的緩和を行います。

また、国の基本的対処方針に、緊急事態、重点措置の対象外の地域でも飲食店に対する第三者認証制度を活用することが盛り込まれました。首都圏一都三県も少なくともこの先数週間は認証の有無によって営業時間や酒類提供時間に差を設けるようです。

こちらが10月01日現在の一都三県の対処方針です。

■ 2021年10月1日:東京都:全域の飲食店に 05:00-21:00 の時短要請、「感染防止徹底点検済証」により11:00-20:00 酒類提供可能
■ 2021年10月1日:埼玉県:全域の飲食店に 05:00-21:00 の時短要請、「彩の国『新しい生活様式』安心宣言飲食店+(プラス)」により11:00-20:00 酒類提供可能
■ 2021年10月1日:千葉県:全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請、 「千葉県飲食店感染防止基本対策確認店」により営業時間を21:00まで延長し11:00-20:00 酒類提供可能「千葉県飲食店感染防止対策認証事業認証店」により営業時間酒類提供ともに制限なし。
■ 2021年10月1日:神奈川県:全域の飲食店に 05:00-20:00 の時短要請、「マスク飲食実施店」により営業時間を 21:00 まで延長し11:00-20:00 酒類提供可能「マスク飲食実施店」申請中は11:00-19:30酒類提供可能。

まとめ

以上、首都圏一都三県における新型コロナウイルス感染症とお酒の、2021年10月01日までの時系列でした。10月1日現在、緊急事態措置の解除、制限の緩和を受けて飲食店が続々と営業再開を発表していて、比較的前向きな雰囲気となっています。これからもこの流れが続くことを願ってやみません。今後また何かあれば、引き続きこれからもリストをメンテナンスしていければと思います。何もなければ良いんですけどね。

よくあるかもしれない質問

Q:緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の日付が数日ずれていませんか?
A:今回はお酒に対する対処方針の適用変更の日付でまとめています。飲食店に急に翌日から対応するよう求めることは難しいこともあり、緊急事態措置、まん延防止等重点措置の開始日と、実際の対処の適用開始日には何日かのずれが生じます。もしそれを勘案してもずれているとしたら私のミスです。すみません。ご指摘いただければ直しますのでコメントいただけるととてもありがたいです。

Q:他の地域は?
A:ほんとすみません。手が回りませんでした。思いの外の作業量でした。もしよかったら興味のある地域について同様に時系列をまとめて公開していただけると素敵です。北海道、関西圏、沖縄はいつか手が回る範囲でさかのぼってまとめられればとは考えています。

Q:〇〇の件が抜けているよ。
A:
すみません。ご指摘いただき、粒度が合えば追記します。ぜひコメントいただけるとありがたいです。

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