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ゴールデンカムイに登場するビール工場は狸小路に?

野田サトルさんの「ゴールデンカムイ」が最終回を迎えるとのことで、現在最終回の一つ前のお話まで無料公開されています(2022-04-08現在)。ゴールデンカムイには、札幌市にあるビール工場が舞台となるエピソードがあり、その位置を示す地図も登場します。地図を頼りに、作中でのビール工場の場所を探してみましょう。

ビール工場の地図が出てくるのは 248 話です。

このお話の舞台は明治後期です。当時の札幌市中心部の区割りは、この資料がわかりやすいです。

札幌市街図(明治40年、札幌中央図書館所蔵)

この市街図と作品中の地図との位置合わせの目標になるものがいくつかあります。

まずは作中の地図の真ん中あたりを左右に走り、1と4をつないでいるライン。これは現在の創成川にあたると考えられます。鉄道や市電のようにも見えますが、駅のように見える四角形は当時の橋だと思われます。

もう一つの目標は、作中誰か(石川啄木?)の右手のそばに描かれた、碁盤の目をまたいで引かれた曲線と、それにつながる二重の四角として描かれた区画です。これは当時の貯木場で、現在の大通東三丁目あたりに相当し、同じ形が市街図にも見つけられます。

最後に、地図の左下に斜めに走っている道路。これは豊平川を渡る橋で、現在の豊平橋に相当し、南四条の電車通りへとつながっています。同じ向きの道路が市街図にもありますね。この先に「4」と「X」の地点があるので、位置合わせがしやすいかと思います。

札幌中心部の碁盤の目の区割りは現在もそれほど大きく変わっていないので、これらの目標を使って位置を合わせると作中の地図に示された地点が大体わかります。現在の地図上にプロットしてみましょう。

作中では、この地図を右に90度回転した向きから描いている形になります。

地図の「◎」のマークは作中の 1-4 の地点に対応します。作中、ロンドンの地図に示された5に相当する地点が、作中でビール工場とされている場所です。ロンドンの地図で2とXの間くらいなので、札幌の地図に置き換えるとビール工場はだいたい地図に「?」で示したあたり、現在の狸小路二丁目の付近が舞台として想定されていることになります。

実際、当時の札幌にはビール工場がありました。開拓使麦酒醸造所のあとを引き継いだ大日本麦酒(現在のサッポロビールとアサヒビールの前身)の札幌工場です。実際の場所は現在のサッポロファクトリーの位置なので、作中のビール工場「?」の位置とは別の場所になりますね。地図ではビールジョッキのマークで示しました。

もちろん、フィクションなので場所は必ずしも現実と一致しないでしょうし、ぼくのプロットした 1-5, X の地点も、現実のそのエリアとは何ら関係ないという点はご承知ください。

もし仮に作品が現実の位置に即して描かれていたとしたら、ビール工場の戦いじゃなくて狸小路二丁目の戦いになっていたっていうことですね。それだとちょっとしまらないので、ここは素直にビール工場が狸小路にあったと想像したいです。もし現在、サッポロファクトリーが狸小路にあったとしたら……。それもなかなか楽しげなエリアになりそうな気がします。

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