人口と経済成長
先進国では一定以上の経済規模になると、人口は減っていく。
これはある程度共感してもらえると思う。
日本の経済成長を支えてきたのは労働力の供給があったから。
明治維新以降すごい増えてるんですね。
コロニアリズムの時代の欧米各国に遅れて始まった産業革命の影響で、
日本の人口は爆増しました。
それに伴って日本の経済は拡大していきました。
これにはいろいろと視点はあるかと思いますが、
原因は大体3つかと。
産業構造の変化により、より生産性の高いセグメントに労働力が集約された 。
健康寿命が長くなり、より長い期間働けるようになり、結果労働力の総量が増えた。
純粋に人口が増えた。
どれも直感的にご納得いただけるか、と。
つまりは全体として供給できる労働力が増えたため、成長してきた、
ということ。
ただそれにも限界はありますよね。
健康寿命もピークアウトが見えてきて、
2.による労働人口増はもう望めないですよね。
60歳定年というのも無くなっていくとは思いますが、
労働量のコアとなるレイヤーの人たち
(いわゆる働き盛りってやつ)
と同じ仕事はできないですよね。
また、3.についても残念ながら改善余地はないですよね。
1972年に男女雇用機会均等法が施行されて以来、
女性の社会進出も増えていて、
生産労働人口の一定割合を占めています。
これによって女性には子育てと仕事という2つの選択肢ができました。
(両立できる云々みたいな話はまた別機会で)
こうなってくると、子育てしながらキャリアを積んでいくことが至難な日本においては、
子供じゃなくて仕事をチョイスする女性は当然増えますよね。
ということは、今後も自然に人口増を望むのは難しいですね。
では1.はどうでしょうか。
産業構造の変化による成長です。
1950年には第3次産業の割合が29.6%だったのが、
2015年には71.9%まで上がりました。
(ちなみに、就業人口ベースのデータです)
技術革新と、その普及によって
より高いレイヤーに労働人口が移動することで、
によって成長してきたということになります。
では、人口減少局面において、
より生産性の高いレイヤーに労働力を集約したら、
経済は成長するのでしょうか。
残念ながら答えはNOです。
めちゃめちゃわかりやすくするため、人口100人の国を考えてみます。
2015年の日本と同じように、
第1次産業の人口が4人、第2次産業が25人、第3次産業が71人とします。
それぞれのレイヤーの生産性を数値化するのは難しいですが、
例えば第1次産業の生産性を100、第2次を110、第3次を120とします。
そうすると全体の生産高は、11,670となります。
では、より多くの(割合の)人が第3次産業に移動したとします。
この場合、比較対象は時間軸でサンプル抽出を行うので、
人口減少局面においては、全体の労働力は減っています。
現状では大体5年で2%くらい減っていくペースなので、
(いろんな計算の仕方があるので、ここの数字はあまり厳密ではないです。)
この数字をとって先ほどの計算のトータルは98人の人口を考えます。
第1次、第2次それぞれが1ポイントずつ減って、
第3次に移動すると考えます。
第1次:3%、第2次:24%、第3次:73%となるので、
先ほどと同様に計算すると、総生産は11,466となります。
減りましたね。
つまり産業レイヤーのシフトでは、成長は目指せないということです。
ちなみに、今は総人口の1%がシフトする計算をしましたが、
この数字を増やせばいい、という考え方もあるかと思います。
でも、これってかなり非現実的ですよね。
240万人分の、より生産性の高い仕事を用意するって、
すんごく難しそうですね。
ちなみに5年ごとの人口減を考えましたが、
2015年と2020年の産業レイヤー別の変化を見ると、
第1次産業:4.2→4.0
第2次産業:25.2→25.0
第3次産業:70.6→71.9
となっているので少なくともここ10年くらいの日本の実情を考えると、
1ポイントずつの変化を考えた、かなり極端な想定をしたと思っています。
よって産業構造のシフトによる成長も見込めそうにありません。
ちなみに上記サンプルは貿易とかは一切考慮していません。
経済成長をしていた時代は日本で作ったものが
海外でたくさん売れてました。
でも今は違いますよね。
では、どうするか。
それぞれの産業の生産性を上げるしかないですよね。
例えば第3次産業の生産性を120⇨150に上げる、とか。
とかっていう話はまた今度。
ちょっと長くなりすぎたので、この辺で。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは。
よりよい未来のために!