XIIX、1stアルバムとライブの話

 普段UNISON SQUARE GARDENでメンバーの書いた曲を主に歌っている斎藤宏介。彼が自身の音楽を追求する上で、ベーシスト須藤優と共に結成したXIIX(テントゥエンティ)。先日リリースされたアルバム、White Whiteの話を、お披露目ライブの話も交えつつ。

 彼らの音楽のジャンルは何にあたるのだろう。一聴して、シティポップだな。と思ったものの、様々なジャンルが交錯しているようにも思う。そもそも音楽のジャンルというのは曖昧で、誰かが勝手に都合良く線引きしたものに過ぎないのだから、表現を突き詰めていくとボーダーレスな部分まで食い込むのも自然な流れなのかもしれない。

 このアルバムは耳馴染みが良い。それはとにかくいいものを作ろうと尽力した結果であり、彼らの今までの音楽活動の成果でもある。そして多少歪な詞を口にしてもさらりと流せてしまう、ボーカルが培ってきた歌唱の表現力の賜物でもある。

 歌詞については、印象的なフレーズが幾つもあるものの、響きを重視して作られている感じもある。作られた音に違和感なく乗せられた歌詞。その上で突然ラップを入れ込んでいたり、耳に残るフレーズや共感してしまう言葉を紛れ込ませていたりする。音と相互に作用し合う詞、当たり前のようだが、それをここまで美しく演じきれているのが凄い。

 バンド編成ではあるものの、正規パートはボーカル&ギター、ベースのみ。だからこそ他の楽器を入れることも、ギターとベースを活かすこともできる。魅せるベースプレイ、ギタープレイも多く、また曲によっては、キーボードもその一部として大事な役割を果たしている。

 そんな作り込まれたアルバムも、彼らはやはりライブで表現することを選ぶ。いいものを作ることを最優先に作られた曲たちを、ライブでどう表現するのだろうか。と期待を胸に赤坂へ。妙に耳馴染みの良い音楽はライブになると、純粋に心地の好い空間となった。生であれだけ再現できる技術力にも驚くが、それを実現させるほどの熱量にも脱帽だ。

 ステージ上の2人は気が付けばXIIXのメンバーの顔になっていて、緊張感の強かったフロアも、いつの間にか彼らに巻き込まれて揺れる。カラフルな照明が、和やかに音と彼らを彩っていたのがとても印象深かった。色をテーマにしたアルバムで、これからもそういう作品を作りたいと話していたから、白を綺麗に染め上げていくような演出になったのだろう。

 そして新曲も2曲披露。まだ始まったばかりの彼ら、スタート地点に立ったばかりのXIIX。溢れ出る創作意欲と共にこれからどこまで行くのだろう。次に見せてくれる美しい景色もきっと彼らの色に染まっているのだろうと思うと、既にワクワクが止まらない。

 

 


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