小さい穴の中に落ちて出られなくなった。狭くて暗いのにここは妙に落ち着く場所だ。ひとりぼっちは怖い。だけど、誰かと一緒にいるのに寂しいのはもっともっと嫌だ。願いもしなかったひとりぼっちが、私という存在を確かめさせる。私は私が好きだった。いや、嫌いになったことなど今までに一度だってない。だけど、私は私のことが嫌いみたいな顔をして生きてきた。その方が何かと都合が良かったから。

 自己愛さえ育めない大地なんかより、大切なことと向き合える暗闇の方がずっと好きだった。いつから求め過ぎるようになってしまって、いつの間に苦しいという言霊に支配されていったのだろう。私は私が生きているというだけで幸せを感じられていたのに。それだけでよかったのに。今だって、本当はそれだけでいい。本当よ、それだけがいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?