同じ夜の下

 テレビドラマの無慈悲な結末を言い当ててしまったあの日、ああ、私はそちら側の人間なんだなと、生きていては駄目な人間なんだなということを実感した。

傷をつけることでしか繋がり合えない関係は酷く脆い。そして険しく、危うく足を取られそうになる。つけた傷を心配してごめんねと謝るだけで、後悔さえしないのは、その痕をなにかの証明だと思っていたいからだった。噛みつくと痛いと言って逃げたあなたの呼吸まで奪おうとして笑ったのは、私が欲情したせいで、言い訳なんてひとつもない。理由というのもやけに曖昧だから、ちゃんと嫌って逃げてほしいと願った。

 それなのにのほほんと今日も夜は私を慰めるから、だから嫌いになれなくて、だけど好きだと認める訳にもいかない。お腹の痛みに意味がなくても、日中の眠気に意義がなくても、ただ生きているだけの私が偉いと信じた今日が、月並みな表現だけど、あなたと同じ空の下で、とかなんとか言って。今日もあなたに傷をつけることばかりを考えて、少し、ほんの少し私の傷は軽くなって、痛み分けなんて言うと私だけの好都合だけど、愛してほしいとか言っちゃうよりはマシでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?