白昼無

 私はあなたに殺されたかった。自分の人生を棒に振って私を殺したという事実を背負えてしまう程あなたに愛して欲しかった。そうしてあなたの中だけで生き続けて、ざまあみろって言って遣りたかった。

私は私を愛している。だからあなたのことを殺せない。あなたはあなたを愛しているから、私のことなんて殺さない。いつまでもひとりとひとりのままだから、言い訳みたいに抱き合って、また今度ねとか言い合うの。私があなたを殺さないのは、愛しいからでもあるんだけどね。あなたが私を殺さないのは、その必要がないからかもね。

 殺しても死ななさそうな顔であなたの目を見てあげる私は、本当はあなたに殺されてみたいと夢をみているロマンチストで、死にそうな顔をして私から目を逸らして少し笑ってみせるあなたは、きっと刺したって死にはしない。あなたの血の海に溺れてその匂いに酔って私は抜け出せなくなるのに。ああ私はあなたに、殺されてみたい。それだけなのに。なんて考えているだけの年末の日曜日に幸でもあるといいのにね、生理痛。

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