攻防

 寄生生物に心を乗っ取られて死んでみたい。そう思ったのは、寄生生物のみせる病変という言葉で片付けざる様々な策略を知ったからだった。少女漫画を読んで育った自分には、その罠は、操作は、あまりにも甘い囁きだった。
憧れるべくは輝かしい未来。そうだとしてどの環境で輝けるのかは、個体差がある。
欲を失い、生を望まない人類の未来より余程、生き延びることのみを望みその術を知る彼らのために生きたいと、死にたいと思えた。
私が死ぬことで報われるそれらと私が損なわれて悲しむ家族のどちらにより将来性があるのか、私はわからない。
人間として、親の悲しみを許さず、人類の尊さを訴えることは急務なのかもしれない。しれないけれど、私は私の価値を示せないままでいるから、結局のところつまらないのだ。どっちみち死ぬしな。

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