軽快なタップの音の中に聴こえる、戦争の悲しみと希望 /映画「スウィングキッズ」
タンタンタンタッタラッタタン!
軽快なリズムが、1ミリもダンスを踊れない私の心をも魅力する。
タップダンスの靴音をより豊かにするブラスバンド、場面を豊かにする秀逸な選曲。
映画「スウィングキッズ」の舞台は、朝鮮戦争の最中、国連軍の管理下にあった捕虜収容所。米軍のジャクソンのタップダンスを倣うのは、捕虜の4人。
主演を演じるのは、ド・ギョンス。高い跳躍力、高速の足捌きは本当に惚れ惚れする!EXOとして培ったダンスとは別物だったらしく、「まるで1つの楽器を習うようだった」と本人談。
敵への闘争心まるだしのギラギラした目から、ダンスに夢中になって喜びが溢れる表情へ。瞳で語る演技が素晴らしい。
坊主ギョンス、大好きすぎる。(あわよくば、もう一度お目にかかりたい)
国籍も立場も違う5人がタップダンスを通じて心を通わせる。それだけの映画なら、どれほどよかっただろう。
軽快なリズムと音楽とは対極に、戦争の凄惨さを否が応でも見せつけられる映画でもある。
どんなに好きなものも好きだと言えない。やりたいことにも手を伸ばせない。人と人が、自分の主義、主張のために騙し合い、殺し合う。それが戦争だと。
ただ、分かり合える共通のものがあれば、たとえ国と国が争っていても、人種が違ったとしても、こころを通わせることができるのではないか。
全て失ったとしてもなお、そんな希望だけは、捨てずにいさせてくれる。
そして人の噂や情報、想像だけで判別せず、その人自身を見つめる大切さ。何が起こっているのかを見極める重要性をも考えさせられる。
これらは現代においても、とてもとても大切ことのはずだ。
昨年からようやく向き合えるようになってきた、戦争という大きなテーマ。それはきっと、「なぜ、戦争をすべきではないのか」をきちんと自分の口で語ることができるようになりたいと思ったからだろう。
その気持ちを持ち続けること。きっと戦争を起こさない、起こさせない抑止力になると信じたい。
朝鮮戦争はいまだ休戦中であり、だからこそ兵役という制度が必要であること。韓国の文化や音楽を好きになるほど、このことについて無知ではいられないと感じていた。だからこそ、このタイミングでこの映画に出会えてよかったと、より一層思うのだ。
わからない、怖いと思うのは、知らないことが多いから。情報が近くにあるからこそ、手を伸ばし、学んでいきたい。
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