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Global Business Trend vol.9 | スタートアップが大手に勝つには?BAND-AIDが多様な色の絆創膏を発表した件で考える

先日BAND-AIDが発表した、多様な肌色に対応した絆創膏。
今までなかったの?!遅すぎる!と思う反面、肌の色が黒くない人がどれだけ色々なことに気付かずやり過ごしているのか、身にしみて感じてしまった(自分は東洋人の中では色黒だが、絆創膏の色については考えたことがなかった)。

このニュースを見て真っ先に思い出したのが、Skin Bandagesというスタートアップ。彼らは以前から多様な色の絆創膏を発売している。また、昨年イギリスの大手スーパーTescoが発表した濃い色の絆創膏のラインアップが、Skin Bandagesから盗作されているという批判を受け、裁判沙汰になった

Skin Bandagesはイギリスにあるスタートアップで、ファウンダーのジョアン・モラレスさんが2019年に創設。最初はハンドクラフト取引サイトのEtsyで販売を始めていて、そこから成長している。

Tesco社は自社の褐色色絆創膏を発表する前に、EtsyからSkin Bandages の商品をオーダーした形跡が残っており、アイディアを盗んだ疑惑が出ている。また、多様な肌色の絆創膏を発売している会社は、他にもある。Tru Color Bandagesもその一つで、2014年に創設された。

しかし、Skin BandagesもTru Color Bandagesも、あまり注目は浴びなかった。多様な肌の色が選べる絆創膏は、今アメリカで起きている大規模デモを機に、BAND-AIDがどんな肌の色でも合う絆創膏の発売を大々的に発表して初めて、注目を浴びるようになったのである。実際に、BAND-AIDも2005年に多様な肌色の絆創膏を発表したが、当時はあまり関心を得ることができずシリーズは中止になったという

スタートアップや小さい会社が先に思いついたアイディアでも、大手が発表して初めて注目を浴びる。小さな会社が大手に勝つには、どのような手法で売り出せば良いのだろうか。考えてみた。

1. とにかくSNSで告知

当たり前のことだが、あらゆるソーシャルを駆使して商品を売り出すのがまずは一番。スタートアップは資金もあまりないため、大きなTVCMやキャンペーンを打ち出すことはできないが、ソーシャルコンシャスな若者が増えている今こそ、instagramを駆使すれば若いオーディエンスにリーチできる可能性は十分ある。ミレニアル世代(1990〜2000前半に生まれた世代)の70%以上は、ソーシャル文脈で購買行動を考えると答えている。DTCブランドの多くは、派手な広告を打っていないが、まずはソーシャルメディアから始めて、大きくなったところでマス広告にシフトしている。また、自分でコンテンツを作って発信する手もある。生理用パンツブランドThinxは最近、Tik Tokを開設ビデオコンテンツを配信している。

2.ニッチを強みに

大手はマスに対してコミュニケーションするが、小さい会社ならニッチなターゲットを見つけてそこに向けて広告を集中投下できる。若い世代を狙うのなら、ターゲットが共感できるようなインターネットミームをブランドが発信してバイラル化を狙ってしまうのもアリ。

3.サブスクモデルにする

消費者の手間・時間・コストを削減してくれるサブスクモデル。リピーター率も高くなるので、ブランドにとっても嬉しいビジネスモデルだ。絆創膏のような日用品ならば、Dollar Shave ClubBillieがやっているように、いつでもキャンセル可能なサブスクモデルにすれば、消耗してもストックできるため消費者も嬉しいし、メーカーにとってもリピート買いしてくれる顧客を探すことができるので導入しやすい。

4.社会的なメッセージを持たせブランドの「ソーシャル色」を強くする

女性用シェーバーを出しているBillieは、「女性の体毛は美しい」というメッセージングで、伝統的な感覚で言うと際どいビジュアルを積極的に使用しながら、「女性が使いやすいシェーバー」として売り出している。「女性の方が男性より10倍も肌の表面を剃っている」など、データに基づいたメッセージングもわかりやすい。

Tru Color BandagesやSkin Bandagesも、このご時世だからこそ、ソーシャルメッセージを色濃くし、ブランドが消費者に現在人種が元に起きている社会問題や医療問題を積極的に取り上げ、消費者に教育するようなポジショニングができるかもしれない。

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