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綾瀬さんと真谷くん9「勉強会」

もうすぐ学年末考査がある。早めに対策しておきたいが、たまには響と一緒に勉強したいなぁ。よし響に聞いてみよう。
「響ー」
人のいないのを見計らって声をかける。
「優、どうしましたか?」
「もうすぐ学年末考査あるでしょ? だから響と一緒に勉強したいなぁって思ってね」
「私の家でやるのでしたら良いですよ」
うん、僕の家だと姉ちゃんがいるからどのみち無理だし大丈夫。
「ありがとう響」
やった。これで響と一緒に勉強できる!
放課後
「ただいまー」
「お邪魔します」
姉ちゃんが今日は帰りが早いので、響の家に直接お邪魔させてもらった。
「あら真谷くんいらっしゃい、今日はどうしたの?」
「あ、もうすぐ学校で学年末考査があるので、響さんと一緒に勉強出来たらいいなと思って来ました」
「あらそうなのね。テスト頑張ってね!」
響のお母さんと少しだけ話をして、響の部屋に向かった。荷物をローテーブルの近くにおいて、理科の教科書を取り出して、テストに出るところを復習する。途中まで進めていると、
「優、ここ分からないから教えて?」
響が質問してきた。
「えっとね……ここはこうすればできるよ」
「ありがとう優」
その後も時々響に教えながらテスト対策を進めて行った。そこへ響のお母さんが部屋に入ってきた。
「2人ともテスト勉強頑張ってる〜? 少しは休憩してね」
「ありがとうございます」
「いつも響の事見てくれてありがとうね」
「いえいえ、とんでもないです」
「響は雛鳥みたいに繊細だから、大事にしてね」
にっ、と響のお母さんが笑いながら言う。
「もう、余計なこと言わないで!」
ぷく、と頬を膨らます響が可愛くて、部屋中が笑いに包まれた。
「じゃあ2人とも頑張ってね」
そういうと響のお母さんは部屋から出た。少し休憩して、響がこう切り出す。
「優? 社会とかの対策してみたらどう?」
苦手なのを見透かされたか。
「わかった。苦手だけど頑張ってみる」

数分後、
「全っ然わからねぇー!」
案の定全くわけがわからない。何気なく響の方をちらっと見ると、ニマニマしていた。なんか悔しい。
「私が教えてあげますね」
「……よろしく」
絶対次は自力で先に理解してみせる。響に教えてもらうのはわかりやすくていいけどやっぱりなんか悔しい。わかりやすいから余計悔しいのかもしれない。
「ふふ、優ったらそんなに悔しいんですか? 顔が可愛くなってますよ?」
「なってない」
響が可愛いと言うのには同意だが、僕が可愛いと言うのは違うと思う。と言うか響の前ではかっこよくいたい。
「いいえ、ものすごく可愛い顔になってます」
にまぁ、とした響が徐に僕のほっぺをフニフニと弄び出す。やめて、と言おうとするがこの状態だとろくに発音できずまた可愛いと言われるに違いないので黙り込む。

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