真谷優の大学留学記16「夏祭り」

もうすぐ夏休みも終わるのでそろそろドイツへ戻る準備をしなければならない。あぁそうだ。夏祭りの日程確認しないと。夏祭りは……明日か。明日なら間に合うな。 あぁそうだ。響にも聞いておこう。「もしもし響、明日夏祭りあるけど一緒に行かない?」「えぇ。 良いですよちょうど私も誘おうとしていたので」「おけ。ありがとう響」良し。これで明日は大丈夫だな。
ー翌日ー
会場は近くの大きな公園のようだ。多くの屋台が並んでいて、どれから回るか悩みどころだ。どこから回るか考えていると後ろから聞き慣れた声がした。
「お待たせ!優!」
後ろを向くと浴衣を着て髪をまとめた響がいた。
ズキュンという音がしたかと思うと、僕の視界は上を向きかけていた。
「だ、大丈夫?!優」「あ、あぁ。 何とかね」響に支えられて何とか持ち直した。
 「さてめいっぱい楽しもうか」手はじめにりんご飴から行こうかと思ったが、ここではりんご飴じゃなくてサンザシ飴なるものがあった。見た目はリンゴみたいな果物で、色はオレンジ色だった。ひと口齧るとサンザシの酸味と飴が持つ甘さが融合してとても美味しかった。サンザシ飴を食べたあとは、フランクフルトの屋台に向かった。味は正直本場ドイツの方が美味しいと思った。これをビールと一緒に食べると優勝できるんだが、生憎日本では20にならないと酒は飲めない。なのでサイダーで我慢した。定番の屋台を全て回った後、お待ちかねの花火の時間が近づいていた。運良く規制線の手前が空いていたのでそこに向かった。規制線の前はだいたい埋まってることが多いから相手いてほんとに良かった。そんなことを思っていると、程なくして最初の花火が打ち上がった。 連続して上がったり、間隔をあけて咲く花火もあったりして意外と楽しめた。花火は1時間くらい続き、夏祭りは終わりを迎えた。「あぁ楽しかった〜そうだ優、次はいつ日本に帰れるの?」「次は多分冬休みには帰って来れると思うよ」「冬か〜ならすぐだね」「うん、だからそれまで待っててね」たわいもない会話を交わし、響を家へ見送った。さて来週にはドイツへ戻る訳だが授業についていけるか心配だな。







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