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詩小説

おめでとう
と、心から伝えた
それしかできなかった
祝福に見返りはない
あたしは嬉しかったのかもしれない
だけど、そんな気持ち、一瞬で消える
残るのは燃え滓のような灰色の孤独感だけ
一年待ってようやく来た連絡が、これだ
あたしはふらふら歩きたくなった
どこまでも歩きたくなった
知らない道でもよかった
それを望んでいた
不気味なほど鮮やかな、ピンクと紫とオレンジの空の下、迷宮のような住宅街を地図もなく歩いた
4年間願い続けたものは叶わなかった
いや、まだ、なんて希望持ってみる?
それは口に出すことじゃない
歩いていると、いくつかの神社と遭遇した
すべての神社であたしは祈る
あたしの祝福が、呪いに変わらないうちに

祝うと呪うは似ている
元は同じ字だ
意味は正反対
相手の幸せを願うのは祝うこと
相手の幸せを妬むのは呪うこと
何も捨てられないあたしには、祝うことも呪うこともできないのが、本当のところだ、
きっと

結局何もなかった
落胆した
ささやかな会話が続くと思っていた?
あたしは祝福にどこか見返りを求めていたのかもしれない

記憶なんて吐き出したい
もうゴミ箱にでも捨ててやりたい

時間が経過するほど、祝福は呪いへと変わっていく、あたしはそれを必死に引き留める
呪いは呪ったものを惨めにする
呪われるより呪う方が不幸だ
そして、祝うより祝ってもらう方が幸せだ
あたしには、呪うか祝うかしか選択肢がない
あたしの居場所はもうとっくになくなっていた
稲荷神社には長い階段があった
でも、ここの階段の長さといったら、
山よりも高い
天国に続いているのかも?
と思い、気がつけば衝動的に登っていた
あたしは衝動的だ
思ったままを発言し、メールにしてしまう
それが災いの道であっても、突き進む
厄介者だ、あたしは
頂上まで登り詰めたとき、空気が冷たい
誰かの家ばかりが建ち並ぶ眼下に興味はなかった
足下に吹く冷ややかな風があたしに跳べという
この高さを跳ぶ?
自殺しろと?
あたしは、ふん、と鼻で笑った
生きてやるわよ
人生まだまだ、何が起こるか分からないでしょ?
今はただ、ショックを受けているだけよ
だけど結果なんて死ぬまで分からない
今死んだら、今が結果ってことでしょ?
そんなの嫌よ
あたしはね、祝うことも呪うこともできないの、
祝っても呪っても無力なんだもの
それよりあたしは、深呼吸をした
明日を生きるために
来い!人生の逆転劇 


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