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最初の検査結果

父の在宅での闘病生活が始まって1ヶ月ちょっと、私自身もキッチンに立つことが軌道に乗り始めた5月の最初の週に、治療効果を見るためのCT検査がありました。
入院中に最初の抗がん剤を腕からの点滴で受け、その後鎖骨下にCVポートを作って退院後も2週間毎に通院しての抗がん剤治療。一度だけ、白血球が減少して休みましたが、食欲も少しずつ戻り、パッと見た感じは悪くなってないと思うけれど…。

なんと、驚くほど癌が縮小していました。

肝臓の転移部分がわかりやすいからと、発覚した直後の3月の画像と比較したものを見せてもらいましたが、素人にも一目瞭然でした。 
腹膜転移部分も胃の原発部分も全て小さくなっている!
さらに日を改めて行った胃カメラ検査では、二つあった癌のうちの上部の一つが消え、幽門部の原発部分が赤く火傷の跡のケロイドのようになっている様子がはっきりと見ることができました。
「抗がん剤が抜群に効きましたね」
と先生も嬉しそう。それを聞いた本人はいっぺんに元気になりました。

もちろん、癌が全て消えたわけではないので油断はできません。
以前と比べると体力も半減しており、抗がん剤の副作用もあって好中球が減少しがちなので感染には特に気をつけねばなりません。
ましてやこのコロナ禍では、ただでさえリスクの高い高齢者。
極力外出を控えてもらって、栄養価の高いメニューを心がけて抵抗力を高めるしかなく、食を預かる私としてはここが最も頑張りどき!とますます料理に時間をかけるようになりました。

母はキッチンから家庭菜園へと持ち場を変更して、無農薬の季節野菜を作り、私はそれらをひたすら調理する、という毎日。
加えて、抗がん剤の治療効果を高めて副作用を減らす可能性のある食材は何でも試しました。
毎朝のスムージーには、豆乳、レモン(ない時はレモンジャム)、米麹、小松菜、バナナ、にんじんを使用。また、小さじ一杯のマヌカハニーも欠かさずに摂取してもらいます。
他は、タンパク質として鶏肉、卵、豆腐、魚を野菜と調味料や薬味(生姜やレモン、ニンニクなど)とうまく組み合わせて、薄味に。
油はオリーブオイルやMCTオイルを積極的に使用し、カロリーを上げます。
お米は玄米が良いそうなのですが、父本人がどうしても苦手なためそこは無理をせず、玄米の成分はサプリメントで補うなどし、食欲を優先。
父の食事量は日を追う毎に増えていき、最初は流動食に近いものばかりだったのが、5月末ごろにはかなり通常食に戻りました。
次第に家族全員の食事とすり合わせていき、6月に入ってからは完全に全員で同じ食事を取れるようにまでなりました。
逆に、父以外の家族が闘病食に近い味付けやメニューに抵抗がなくなってきた、とも言えます。

私自身にも変化がありました。
塩分と肉の摂取量が減って野菜が多くなったことにより、まず疲れやすさが緩和されました。炭水化物量が減っていないので、体重はさほど変化ありませんが、身体の動きが以前とは違ってかなり軽くなったのです。
これまで不摂生をしてきたわけではないものの、若い頃からの食習慣や嗜好からどうしても欧米食に偏りがちだったので、これまで通りだと消化器系の癌のリスクは高いままでしょう。
そう考えると、まだ何ともない今気づいて良かった。これぞまさしく、父の病気から一病息災…そう思えてなりません。


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