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緊急事態に思うこと。ちょっと真面目に。

2020.4.20. 和登 / 夜

ライヴができないことについては、俺は焦りみたいなものはないんですよ。バンドを現役でやってる人は全てをそこに賭けていて、生活の基盤全てがそこにあって、体を酷使して無理してでもいろいろスケジュールを詰めて、みんなやってるじゃないですか。でも今の俺は違うから。あくまで無理のない範囲で、自分がこれ以上摩耗しないような距離感を保つというか、そうやって音楽ができるようにしてるから。そういう意味では、ヤバい、ライヴがない、どうしようみたいな焦りはないかな。キャンセルがこれ以上重なってくると、金銭的な問題で焦りは出るかもしれないけど(苦笑)。

生活自体には、特に何かが変わったということはないですね。多少、Amazonが届くのが遅くなるとか、その程度の話で(笑)。何かを我慢してという感じでもなく。だから不安もないし、現役でバンドをやってたときの先が見えない感じのほうが全然不安だった。人生まるごとバンドに賭けてるからこそ、動員が伸びないとか、メンバー間の中で問題が出てるとか、それで時間だけが過ぎてライヴが消化試合になっちゃってるとか、光が見えないままライヴをしないといけないとか。個人的には、今よりもそのときの不安のほうが恐かったですね。

現役でバンドをやってる人たちは配信とか、いろいろしてるじゃないですか。昨日も、NoGoDの団長が、「Stay Home」っていう曲をKyrieさんと一緒にあげてましたよね。でも、みんなを励まそう、そして自分たちを鼓舞しようってやってる姿を見るのはちょっとツラかったりします。今俺がやってる音楽とか表現とか、ステージに立ってることは、自分でバンドをやって夢をつかもうとした物語が終わった後のエピローグでしかないんですよ。だからこそ、今まだ映画の本編の中で物語を描き続けている人たちのことが、気がかりではある。

もしその人たちに何かあったら、できる範囲で協力は惜しまないけど、俺にできることは小さいから。ミネさん(ミネムラ”Miney”アキノリ/The Benjamin)のところのBadeggboxが作ったコロナブッコロTシャツを着てるけど、それぐらいですよね。でもそれが活動につながればいいなと思うし、もともと派手なことは好きじゃないので、影ながらできることをするのが俺には合ってるんです。

夜として4月から2マンを5本やるのは、これから目指すものへの足がかりだから、それができない悔しさはもちろんあります。ただ夜のライヴは、いつもここで死んでもいいという想いでやってるし、後のことを考えてないから見せられるものこそが夜の魅力だし。だから、万が一コロナのせいで今みたいな状況が続いて、やりたくても音楽ができなくなったとしても、しかたがないって自分は思えるのかもしれないな。

もちろん次にファンの人に会えるときを待って、そのときのために曲も作るし、そのときに新しい写真とか音源を出すのであれば、そのプランをじっくり練る時間にはしますよ。むしろこの時間を利用して、ネタを熟成させておこうかなと。ジョギングしたり、体調と体型の管理みたいなものは続けられたらいいと思ってます。

編集長の日記
緊急事態宣言が出て2週間。何か状況が変わったのかよくわからないのが本音です。ギリギリ持ちこたえてる感じ。でも先は見えない。これこそが、感染症が蔓延するということなのかもしれません。カミュの『ペスト』が読まれるわけです。

インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。