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緊急事態に思うこと。ちょっと真面目に。

2020.5.17. 田澤孝介 / Rayflower, Waive

最近は、みんないろいろ配信をやってますよね。でも、俺は現場主義なところがあって、生に勝るものはないと思ってるんです。一度、配信ライヴをしたんですけど、いざやってみると、ライヴとは全く別もので代わりになるものではないけど、配信ならではのよさがあると思いました。生のライヴに来れなかった人が見られるとか、お家で好きな状態で見られるとか。ライヴとは別ものだからこそ、全く違う楽しみ方ができるツールだっていう納得がいきました。

ライヴができるようになったらライヴをすればいいし、やりたくてもできないこの状況なので、生にこだわる=何も受け入れないということではなくて、生が一番いいのはわかったうえで、今は違う方法論をとるし、共存させていかないといけないと思ってますね。

そうじゃないと、音楽家としてにぶっていくというか。自分が人前に立ってる人だというのを忘れるんですよね。音楽に触れる時間は増えたんですよ。ライヴが好きなんで、今までは月に何本もライヴをやってたから、その準備がいっぱいあって、やりたくても優先順位としては後回しになってたことがあったし、それを今はやってるんですね。そうすることで、音楽が好きやったなぁって改めて思い出したりしてます。

そうは言っても今はライヴができないから、音楽を届けることはできないわけですけど、自分が音楽を長く続けてさえいれば、いつでも好きなときにまた聴いてもらえると思ってるから、ライヴができないことで焦りはないですね。

この変化を経て、いろいろなものがオンラインになるでしょうけど、生の良さを知ってる人は生を続けるでしょうし、生が好きな人は待ち続けると思います。コロナが収束すれば、また生の文化に触れるでしょうね。美術館にも行けば、ライヴに限らず劇場にも行くし。その場所に行くということもそうだし。

僕らは大きな会場でカッコいいライヴをやっている人に憧れたから、ライヴハウスに出るという活動の始め方をしたんですよね。今は、YouTubeチャンネルで登録数が200万あって、再生数が2億回というのを目標にする時代だとも思うから、カッコいいの形が変わるということですよね。意固地になって、生にこだわってると言ってたところは正直ありますよ。でも、生のよさを伝えるために配信したっていいじゃんって思うんです。開き直りじゃないけど、できることを、あるものに乗せてもっとやっていけばいいのかなと思います

例えば、歌ってみたがあるじゃないですか。それで有名な人の曲をカヴァーして、バズるっていうんですか、たくさんの人に聴いてもらえたら、今まで僕を知ってくれてた人がどう思うんやろとかを考えてしまうんですね。すると、歌ってみたをやるのが一概にいいとは言えないかもと思ったりするんです。でも今は、それはそれやん、というところもあります。この曲、上手に歌えんねん、みんな聴いてっていうだけでいいやんという考えは出てきましたね。

実際にライヴができるのは、残念やけどちょっと遠いと思うんですね。ライヴができない今、じゃあ音楽をやめますかって言ったら、俺は音楽が好きだからやめないんです。ただ、お客さんを危険にさらす可能性があるのであれば、ライヴはできないと思うんですよ。だから、今まで手を付けてこなかったことをやって、安全に楽しんでもらえる方法を考えていきたいですね。

編集長の日記
気づけば5月も半ばを過ぎ、嘘のようです。日記をつけると、一日一日を噛みしめられると思いきや、その逆になっている状態です。毎日が速すぎます。
おうち時間を持て余す日々から、新しい生活様式へ。いろいろなことが変わる中、変わらないものもあるはずと思うのは、変化についていけない自分がいるからでしょうか。


インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。