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森 翼&AYA / MIMIZUQインタビュー

現体制で初となる東名阪ツアーを大成功に終えたMIMIZUQ。
ツアーファイナルでは、2023年6月に迎える5周年記念へ向けて
さまざまな活動が発表された。
その第一弾であるデジタルシングル「アオイトリ」が、
12月6日にリリースされる。
前進し続ける時巡りの列車をともに羽ばたく青い鳥。
MIMIZUQを見守る幸福の鳥のさえずりに耳を傾けてほしい。


●この4人で初めて回ったツアーはいかがでしたか?
AYA:みんなで移動することってあんまりないし、久しぶりな感じなんで楽しかったです。普段はこうやって会うだけやけど、車に乗って移動しながらいろんな話をするのはバンドっぽいなって思いました。
森 翼:旅をしてる感がすごいありました。普段は一人でツアーに行ってるから、ずっと時間を共有してるのがバンドっぽいと思って。バンドという乗り物に乗って、次の街へ歌を届ける感じがしたから、そこには待ってくれている人たちがいてほしいなって改めて思いました。新しい人に知ってもらうのも目的なんですけど、小さなゴールテープを持って待っててくれている人がいたのをすごく感じたから、いろんなところに向かってゴールしていきたいなと思いました。

●この4人のMIMIZUQを初めて観る人もいたと思うんですが、その辺りはいかがでしたか。
森 翼:いいバンドやって思ってくれたやろなっていう自信はありました。みんなでしっかりやってるよ、前を向いてやってるよ、これからどうなっていくか楽しみにしといてよって、東名阪に置いてこれたツアーやったかなと思います。

●2デイズずつという形式で、違う表情や音楽を見せられたのもよかったですよね。
AYA:アコースティックは、東京以外は初めてでしたしね。1日目にアコースティックがあって、僕的にはよかったです。

●どういうところがいいんですか。
AYA:アコースティックを先にやることで、ちょっと慎重になるんですよね。僕は慎重になるほうがいいんです。ドーン!って勢いで始まっちゃうと、そのままドーン!って勢いだけでいっちゃうから。なるべく慎重にライヴを始めたい派なんです。そのほうが自分でシビアにやれる感じがするんです。それがよかったですね。
森 翼:確かにアコースティックをやってからなんで、集中できましたよね。
AYA:研ぎ澄まされてる感じがある状態で、2日目のロックスタイルに向かったんでよかったです。

●両日来たファンの方は、初日で和めたかもしれないですね。
AYA:あの空気感があったからね。
森 翼:アコースティック楽器の持つアットホームな感じとか、マイクを通さなくても言ったことが伝わるとか、そういう空気に可能性を感じました。バンドで見せるのより、もう少しリアルな感じというか。バンドのライヴで世界観をつくろうとしてる僕たち自身を観てもらえる瞬間が、アコースティックのときはあったと思います。同じ曲をやってても全然違うし、自然と違うアレンジの方向性になったんですよね。これは来年以降に向けて、今年見つけた可能性のひとつかなと思います。

新たな引き出しが加えられたアレンジの「アオイトリ」


●さて、12月6日にリリースされる「アオイトリ」ですが、時巡りの列車と時を巡っている鳥そのものがテーマということで、列車が進むに連れて時間が流れているという本筋とは少し違う立ち位置になりますね。
AYA:森君が加入する前からあった曲なんで、どうやって時巡りの列車と紐づけようかと考えた挙句、列車にくっついて飛んで来ていることにしました。
森 翼:車窓から、飛んでるのが見えてるんです。

●リリースのタイミングをここにしたのはどういう経緯から?
AYA:「MONSTER GIRL」とか「Tic-Tac」とかと一緒に、一番初めにプリプロしたときから、この曲はやりたいねって言って声だけは録ってたんですよ。未発表曲と新曲とか全部ストックを聴いたうえで、やりたい曲の中に入れてたんです。ただやっぱり新曲を出すのが先かなと思って眠らせてました。
森 翼:もとの形とはアレンジもすごく変わったし。
AYA:アレンジも森君に合わせてガラッと変えましたね。「Child Room」の後なんで、またロックっぽいものを出してもいいのかなと思って。

●アレンジはまたKota Maruiさんですが、「Child Room」とは違うねらいがあったということですか。
AYA:「Child Room」のときは、シティポップにしてくれってお願いしたけど、今回はロックっぽくしてくれって言いました。それでも、森君に合わせて変えようということでジャズのアレンジが入ってきたりして、僕らにはない引き出しが出てきたんでよかったですね。

●リクエストして、ああいう形になったわけじゃないんですね。
AYA:僕にない引き出しをがんがん入れちゃってくれと言いましたね。曲自体もコンパクトになってるし、アレンジはだいぶ変わってます。
森 翼:大枠で雰囲気を伝えて、場面が切り替わるところで、面白いアイデアがないですか? みたいな感じで。そこで持ってきてくださった案の中にジャズっぽいセクションがあったり、あえてテンポを変えてその瞬間に違う曲になってるみたいな感じがあるのが、AYAさんの世界観っぽいと思います。そのときそのときで世界が違うみたいな感じを一曲の中に詰めてもらえた、いいアレンジになってると思います。

●自分にない引き出しと言っても、変な話、自分で弾かなければいけないわけで。
AYA:ジャズのところはむちゃくちゃ苦労しました。でも、細かく譜面をもらってやったんで、面白かったし、引き出しが一個増えたなって感謝してます。

●翼さんとしては、Aメロみたいなメロディよりもリズムが前に出ているフレーズと、サビみたいなメロディアスな歌とでは違うところがあったりするんですか。
森 翼:前半のAメロとかみたいにリズムで遊べてる曲のほうが自分は好きなんです。しっかりきれいなメロディがあるとやっぱり構えちゃうというか。今回の東名阪のライヴで特に感じたんですけど、歌い上げるとか歌い過ぎることもよくないのかなって。なんて言ったらいいんですかね、今までは音楽の中でどう泳いでやろうか、どう泳いでるのを見せてやろうかって感じてたんですけど、ツアーを回ってみんなにもっと預けられるようになったんです。だから、僕がやりたかったのは、曲の中でぷかぷか浮かぶことなんかなって。これまでは全部全力でやりたいと思ってたから、ほら、潜水もバタフライもできるよみたいなところがあったけど、ぷかぷか浮かんでるときもあったら、一生懸命泳いでる姿ももっと美しくなると思うし。そんな風に自然体になるためには、ミスったらどうしようとかじゃないんですよね。リズム系の歌のほうがそっちの気持ちで挑めるから、自分の理想とは近いです。得意と理想が意外と違うねんなって気づきました。

●このアレンジを披露したのは、先日のツアーからですか。
AYA:ツアー初日からですね。とてつもない緊張感の中で、大阪で初めてやりました。「望縁峡」っていう、谷とか川がテーマの曲があって、そこに鳥の羽音が流れるんですよ、バサバサバサって。そこから「アオイトリ」が始まるから、静まり返ってるところだし、緊張感がありました。もうちょっと後半のブロックの盛り上がったところで入ってくると、また違うかなと思います。
森 翼:あそこは新曲が2曲続いてたから。AYAさん以外の3人は、新曲2曲を続けないで離してほしいと思ってました(セットリストを考えたのはAYA)。
AYA:2曲でひとつというか、続いてるから。
森 翼:でも、ファイナルの名古屋ですごく形になって、めっちゃいいところに落ち着いたからよかったです。毎回車の中で、どうしたいのかっていう話をしてたのが名古屋で生きたし、一緒に旅をして共有したこともあったから。この曲はツアーですごく育った曲ですね。

●もともと曲を書いたときから、歌詞は変わってないんですよね。
AYA:変わってないです。時巡りの列車のコンセプトが始まったときから、いつか「アオイトリ」は出そうと思ってたんで、「Tic-Tac」の歌詞に“アオイトリ”という同じ表記が出てきてたり、「孵化」のギターソロのバックで英語をしゃべってるところは、「アオイトリ」の歌詞の英訳になったりしています。

●すごく仕込んでるんですね。
AYA:いろいろ伏線を入れてたんですよ(笑)。

●「アオイトリ」の歌詞自体も未来へ向かっていく内容なので、「孵化」で生まれてだんだん成長していくところとか、列車が進んでいくところとか、イメージが上手く重なっているなと。
AYA:そうですね、不思議と。そこはねらってなかったです。
森 翼:MIMIZUQの曲の歌詞を見直して思うのは、強さとかポジティブなことを歌ってても、それをネガティブなところから見てるような感じがします。明るいところにいて、みんなであの明るいところを目指そうよとかじゃなくて、薄暗いところから明るいところを見てる視点の曲が多くて。今このご時世、ひとりで過ごす時間が増えているから、そういうときの感覚とリンクしてくれる人が増えたと思うんです。そういう面でも、新しい人に聴いてもらいたいし、そういう人に寄り添えたらって思います。

また旅に出て、4人みんなで一緒に疲れたい

●ツアーファイナルにはたくさんの告知があり、6月まで予定が目白押しですね。
AYA:てんこ盛りになってます。アルバムはもう曲が出揃ってるし、衣装さんと打ち合わせもしてるし、順調ですね。5周年を成功させたいんで、そこに向かって盛り上げていきます。

●この4人で進んでいけるという確信が持てたから、先まで決められたみたいなところがあるんでしょうか。
AYA:イベントに出たりする中で、この4人での正解みたいなのが見えてきたし、これからはMIMIZUQを全然知らない人に向けていかなあかんと思ってて。そのために、衣装とかも含めて新しいものをつくっていこうというモードになってる感じですかね。前から知ってる人に帰ってきてよっていう気持ちはもちろんやけど、それだけじゃなくて新しい人にも知ってもらいたいんです。

●この4人のMIMIZUQから知る人が出てくるのは、翼さんとしては新しい感覚だったりしそうですか。
森 翼:あ、そうか。そういう人がいるのか。ただ最近は、いつから応援してくれてるとかはあんまり考えてないですね。初めて観てくれる人もいつも応援してくれてる人も、目の前にいてる人に向けて全力でライヴをやってるし、もっともっと大事にしたいのは、4人のバランスというか4人の自然体というか、そういうところなんです。音楽とか技術とかじゃなくて、心がぴたって重なったときに起こる奇跡みたいなのを僕は追いかけたい。だから、加入したときからずっと言ってるように、僕を知ってほしいし、3人を知りたいし、これ以上は知られたくないっていう線も知りたいし、これ以上は教えないっていう俺の線も知ってほしいし。そうなってこそ、勝てると思うんです。

●それは何に?
森 翼:対バンとかとやるときは、僕は戦いやと思ってるんですよ。
AYA:戦い(笑)。
森 翼:4人の最強のバランスみたいなのはむちゃくちゃ意識します。お笑い芸人の人から聞いたんですけど、漫才コンビやと、パワーバランスが10として、10:0でも、9:1でもあかんらしいんです。グループの力は掛け算になるから、5:5やったら、5×5=25で一番大きくなるんです。

●ああ、3:7だったら21だし、4:6でも24なんですね。
森 翼:そう。それは4人でも同じやろうから、最大の数字にするには4人が同じバランスでないと。自然体でそうなれたら、何をしても負けないと思うんです。旅で一緒におって、そういうのを考えるようになりました。無意識の状態でそうなれたらいいし、そのためには旅に行きまくることやと思うんです。

●ただ行くだけじゃなくて、行きまくる(笑)。
森 翼:旅は疲れるけど、いっぱいみんなで疲れたらいいんやと思うんです。

●2月には旅が控えてますからね。FROZEN CAVEというタイトルについては?
AYA:冬なんで、冷たい洞窟に行こうということです。

●そこには何かがいたり?
AYA:列車が通って行くだけなんで、何があるかはわかんないです。列車が通って行く場所をつなげていったら面白い地図ができると思うんですよね。そういうのをジャケットのデザインとかにしたいですよね。

●冷たい洞窟に行くというところから、ライヴのイメージは広がっていますか。
AYA:こういうことをやってみようかな、みたいなのはありますね。新曲もやれたらいいですけど、まだどうなるかわからないです。

●今回も、アコースティックとバンドで、ただ東京は一日二公演です。
AYA:東京、どうするんや(笑)。
森 翼:編成もセットリストも変わるし、一日二公演はやばいですね。それに、またファイナルが名古屋なんで、名古屋推しになってますよね。

●もう来年の話をしていますが、まずは今年がいい形で活動が進められたからこそですよね。
AYA:今年はいい感じでした。
森 翼:12月6日が年内はラストですよね。
AYA:そう、MIMIZUQはそれでライヴ納め。
森 翼:次が1月15日やから、一か月以上空くな。

●それが柏PALOOZのイベントですね。
森 翼:新しく「SINGER'S喫茶 CAT'S EYE」というイベントを始めます。ゲストシンガーを呼んで、トークとかライヴとかセッションをします。

●ゲストシンガーの顔合わせも珍しくて、貴重な機会になりそうですね。

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