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特集『オンラインの可能性』 Miney、ツイキャス生演奏を語る

コロナ禍でオンラインの配信が増えたのには、
手軽に利用できるさまざまなサービスがあることも要因のひとつだろう。
中でもツイキャスは、多くのアーティストが利用している身近な存在だ。
The Benjaminは、週に一度ツイキャスで生演奏を聴かせ、新曲までも披露、音楽活動の一貫として活用している。
その魅力はいったいどこにあるのだろう。
厳しい状況いおいても、あくまで音楽を楽しむミュージシャンらしい姿に、一筋の希望を目にした気がする。

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■ツイキャスを使ったトークはよく聞きますけど、The Benjaminは積極的にライヴをしていますよね。
最初はしゃべりましたよ。さみしがり屋がみんなに相手をしてほしいからちょっとやってみた(笑)、みたいな感じでひとりでやってみました。変な話ですけど、そこにお金が発生するとかも知らなくて。

■お茶爆(投げ銭)があるとか?
そう。そういうものが存在することすら知らずにやってみたんですけど、しゃべるのは2、3回で飽きますよね(笑)。それで個人的な満足は満たされたし、こういうことをやって喜んでくれる人たちがいることも知ったわけなので、ここから先はその人たちがさらに喜んでくれることは何だろうと考えると、やっぱり僕たちは音楽人だから、音楽をやるべきなんだろうと必然的に思いました。

でも、どういうやり方をするのがいいんだろうと思って、最初はアコギで弾き語りを始めたり。それから、オケを入れてもうちょっと本格的なものをやろうとか、アイデアはどんどん出て来たんです。でも、今まで配信というものを全然やってこなかったから、技術的なことが全くわからなくて、思うとおりにいかなくて。弾き語りをやってもいい音でお届けすることができないし、オケを合わせてやってもラグ(遅延)とかがあって演奏が合わない。メンバーを呼んで、ソーシャルディスタンスを守ってそれぞれのアカウントで一緒にやってみたりもしたけど、ラグで演奏できたもんじゃない。

音楽人といってるわりにどんどんボロが出ていってるような気持ちになるじゃないですか(笑)。それから、どうすればいいのか一個ずつ解決していったんです。前回はあれが問題だったからどうすればちゃんとしたものが届けられるだろうって、一個ずつ機材を増やしたり工夫したりして、現在に至る感じですね。

■やり方が見えてきたから続けてこられたというか、続けるだけの価値があると思えたんですか。
メンバーのオタク的なところに火がついたんですよね。前のバンドのときも、活動休止期間に急に機材オタクになったりしてたんですよ。三人とも、そのときと同じような火のつき方をしましたね。あれを揃えればいい、あれをこうすればいいんじゃないかと言って。配信するのにハマったんですよね。面白いし、みんなも喜んでくれるし。誤解を恐れずに言うと、ツイキャスを使った音楽活動も楽しいんじゃないかなと感じてもいます。もちろんライヴはしたいけど、この音楽活動もいいかもなという実感すらある。

■それは表現として音楽をするということだけでなく、三人だけでできるとか、DIY的なところも含めてなんでしょうか。
それも含めてだし、まさに三人だからできたというのもあるし。メンバーにドラムがいたら、今のやり方ではできなかったですよね。それとみんな凝り性で、前のバンドの曲も含め、全部の曲を愛し続けていて、曲のストックがいっぱいあったという条件が揃ったから、俺たちはこれを楽しめてると思うんですよ。毎週、最新アルバムの曲をやってるだけでは、やる側も見る側も飽きてくるから。かといって、ひと様のカヴァーをやる気にもならないし。改めて、昔のバンドの曲のアレンジを整理し始めたりしてます。

■The Benjaminのライヴができないから、その代わりにやっているというのとは違うものみたいですね。
うん、そうですね。昔のバンドの曲を改めてやるのは、やりたかったんですよ。ずっと部屋の片付けをしたかったけど、するチャンスがなかったみたいな感じ。それをやる機会ができたんですよね。もちろん喜んでくれる方がいるというのが前提ですけど。The Benjaminのライヴの代わりにはならないけど、これはこれで楽しいし満足もしてます、実はね。

■それだけ満足度が高くなるのはどうしてなんでしょうね。
喜んでくれる人がいるし、自分たちが音楽をできてるし。自分たちでテーマを持って、次のツイキャスに向かっていける楽しみとか。細かいことを言うとライヴよりモニターがしやすいから、丁寧に歌えたり、丁寧にギターを弾けたりするのも楽しいですね。

ツイキャスだからできる楽しさ

■今は、ラインの音を聴きながら演奏してるんですよね。
そうです。そうすると、例えばね、三人ともコンデンサーマイクを使ってるんですけど、これは普通のライヴ会場だったら、ハウっちゃうから使えないんです、繊細過ぎて。だから普通のライヴだと、ダイナミックマイクというのを使うんですけど、配信だとコンデンサーマイクを使ってみんなに生声を聴かせることができるんです。ということは、繊細なニュアンス、ささやくような歌い方とかも届けられるから、それはちょっとうれしいんですよ。そういう点でもライヴとは別のものというのが大前提としてありますよね。

■ただ、聴き手の環境はみんなバラバラという問題がありますよね、配信だと。スマホで聴いてるファンが多いのかもしれないですが。
イヤホンしてる人もいるだろうしね。安いイヤホンの子もいれば、高いイヤホンの子もいるだろうしね(笑)。それはね、ライヴを最前で見るのか後ろで見るのか、上手なのか下手なのかみたいなことだと思ってます。中にはライヴでも耳栓しながら聴いてる子もいるしね、大きい音を防ぐために。そういう問題なんじゃないかな。

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■ライヴの代わりと考えると足りないところもいろいろあるでしょうけど、それよりもツイキャスだからできるいい面を楽しんでる感じですね。
何て言うんだろうな、演奏を失敗したらやり直してもいいぐらいな感じが、ツイキャスだとあるんだよね。チープといったら失礼だけど、扱いやすいというのもあるかな。YouTubeとかはちゃんと調べてないし、ほかの手段は試してないからどんなのがあるのか知らないというのも正直なところですね。

ライヴだとハンドマイクだけで歌ってる曲とかも、今ツイキャスでやるときは座って、全曲できるだけギターヴォーカルでやってるんですね。だから曲を覚え直してりもしてるし、緊張感があるんですよ。そういうのも楽しいですね。

■ライヴをやったぜ、みたいな達成感はあったりするんですか。
いい疲労感はありますよ。ライヴとは神経の使い方が違うけどね、集中力という点では同じ。お客さんの反応もコメントとかで実感するから、反応がすごくよかった日は、ライヴがよかったときのような充実感が得られます。反省もするしね。ここがああだったなとか、このやり方だとファンの子はそんなに盛り上がってくれるんじゃないんだなとか。

さらに、ラインの音を聴かせてるわけだから、ライヴでの大きい音の中で誤魔化せるようなものじゃないですからね。ライヴができるようになったら演奏が上手くなってると思いますよ。ここ最近は何年もライヴが詰まってたから、それぞれが演奏力をあげることに集中するタイミングがなかなかなかったんですよね。今は趣味も兼ねて演奏力をあげることができる最高のタイミングだとも思いますね。

■確かにこの期間に、いつもはできないような基礎練習をしているという話は聞きますね。
そうそう。そういうミュージシャンの友達は尊敬するし、俺もやろうと思いますね。ジャニーズの人たちも遊びながらダンスの練習もしてるじゃないですか(笑)。

■コロナ禍でバンド活動が難しい状況ですけど、音楽活動がちゃんとできてる感じがしますね。
今はそうですね。ツイキャスが終わったら次の一週間の間に選曲をして、アレンジして、練習、プリプロみたいなのもするんですよ。新しいギターソロを考えたり。前のバンドの曲をやるときはヴォーカルを誰がするかも決めなきゃいけないし、歌い分けするのとかもあるし。それ用のオケを作ったり。一週間のうちにその準備に時間がかかってますね。お茶爆のお礼もピアノの弾き語りの動画とかをあげたりしてるんですよ。ツイキャスの次の日は、お礼用のピアノの弾き語りのアレンジを練習して、撮って。それに1日かかるので忙しいし、いいんだと思います。

ライヴはできないけど、曲は作るし、生で聴かせられる

■今は毎週金曜の夜10時からツイキャスをしてますけど、ワンマンライヴなみに曲をやってても無料なんですよね。
今のところはそうですね。自分たちでやってるのでそんなにお金もかかってないから。

■ライヴとして対価を受け取ろうというのとは違う?
やっぱりちょっと違うんですよね。お金をとるときはもうちょっとちゃんとした状況のときにとろうかな(笑)。ここが完成だ、これで商品だ、パッケージだと思ったときは有料にするかもしれないですね。つい最近やっと、合成を取り入れたんですよ。

■この間、背景が海岸の風景になってましたね。あれはクロマキーだったんですよね
そう。でも、クロマキーの布が足りなくてね(笑)。たぶん足りないだろうなってわかってるんだけど、ちゃんと足りるようにしてやるのは翌週に持ち越すんです。一回目は足らないままやろうって。

■足りないのが、またいいんですね。
そうそう。うちのバンドのイメージだからかもしれないですね。カッコつけてるバンドはそういうわけにいかないですからね。うちはスッピンでやれちゃってますからね。

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■そこの力が入ってないところと、音楽に力を入れているところのギャップが面白いですよね。
この前は新曲を初めて配信で披露しましたからね。本当は夏に音源を出そうと思ってたんです。7月半ばにはライヴも再開されるんじゃないかな、3月に延期したツアーが始まるんじゃないかなと思って。そのときに音源を持っていこうという準備はあったんですけど、ツアーができなくなったから。でもね、せっかく新曲を作ったし、楽しみにしてくれてる人もいるだろうし。それに昔の曲ばかりやってる場合じゃないでしょ。

自分がバンドのファンだったら何がうれしいって、ワンマンライヴが決まりました、新曲ができました、新しいアー写が出ました、じゃないかな。自分がファンだったら、こんな時期だけどほしい刺激として、自分たちにできることを考えたら新曲かなと思ったし。逆に、今だったら配信ですぐ新曲を聴かせられるのが嬉しいですよね。

音源を出すだけじゃなくて、生演奏をして聴かせられるところによさがありますよね。今まではライヴでしかできなかったのが、今だとこういう形で生演奏で新曲を届けることができるのは新しい形だし、いいことなんじゃないかなと思ったりします。もちろん喜んでもらえたし。新しい活動のひとつですよね、これはきっと。

■曲作りをしていくとか、ツイキャスで新曲を披露していくことは、この状況の中で続けていこうと?
ルーティンとして曲は作っていこうかなとは思ってますね。今年セカンドアルバムを出したから、サードアルバムを出したい時期がきたらまた曲作りはしたいと思うし。ライヴができないんだったら曲を作ってないとね。何のために音楽をする人生を選んだのかわからなくないですか?

■ツアーとかリリースのスケジュールがとんだからでしょうけど、あまり新曲を作ってますというのは耳にしないので。ツイキャスでトークをする情報ばかりがTwitterに流れてくるような気がしてます。
ああ、確かに。それで音楽ビジネスが成立しているのはそれはそれでうらやましいですけど(笑)。カッコいいバンドマンの顔を見てファンが癒されるならそれでいいと思うし。俺だって、ライヴでファンの子たちの顔が見られないのは寂しいですよ。これ、ちゃんと書いといてくださいね(笑)。

音楽をやる方法はいくらだってある

■ツイキャスではなく、ライヴハウスからライヴを配信することは興味はないですか。
やりたいとは思ってます。お客さんのこともそうだけど、自分たちでもツイキャスと何が違うのか、まだ経験してないんでわからないから。24日に初めてイベントでやるんですけど、そのアーカイブを見て、ライヴハウスからの配信のほうがいいと思ったら切り替えるかもしれないし。こっ恥ずかしいだけでたいして変わらないと思ったら、ツイキャスでいいだろうし。経験してみないとわからないですよね。

豪華に配信ライヴをやってる方たちもいるから、ああいうのもやってみたいとは思うけど、ああいうのは1回か2回ぐらいでいいかもしれないですね。今の手づくり感が俺たちの中で流行ってるところはあるから。実際、どうなんですかね、配信のライヴでお客さんを増やすぜって言ってるようなバンドはいるんですかね。プロモーションにはならないでしょ。

■難しいと思いますけど、地方に住んでるファンとかリスナーにとっては大きい影響力があるかもしれないですね。東京とかに住んでるファンとは受け取り方が違うかも。
じゃあ、ちゃんとやったほうがいいな(笑)。ツイキャスもメイクしがほうがいいかもしんない。

■ライヴハウスにお客さんを呼んで、国の定めたガイドラインにのっとったライヴをすることについてはどうですか。
今の気分でいうと、わざわざやらなくていいかなと思ってます。それはこの前の取材でもお話しましたけど、不安が少しでもあるんだったらやらなくていいということですよね。これは平和産業だから、平和、安心であることが絶対条件じゃないですか。だから大袈裟に言ったら、ワクチンができるまでやらなくてもいいかなと思ったりしますよ。わからないですけどね、経済的なこととかお付き合いとかがあるから(笑)。

■今のところは、ツイキャスでライヴをやる、曲を聴かせるというのを、自分たちの音楽活動として続けていこうということですね。
ライヴができない代わりにオンラインをやってますというのが始まりだし、今もそう思ってやってらっしゃる方もいるかもしんないですけど、僕はわりとこれはこれの楽しみを見いだせてるんですよ、音楽的充実としてはね。だから飽きるまではやりますね。俺たちが飽きるのか、ファンの皆さんが飽きるのかわからないですけど。

■先日のツイキャスでは、過去の曲から夏くくりの曲のみのセットリストでしたよね。そのパート2が25日で、これからもそういう企画を続けていくんですか。
やっていこうと思ってます。これまでの曲159曲をエクセルで表にして、全部カテゴリー分けしたんですよ。季節ごととか、うちは花言葉をいっぱい使ってるんでそれとか。乗り物とかもあるんですよ。新曲の「ボートが揺れた」もそうだし、「Bicycle」とか。衣服もありますね、「ブラウス」「ベルト」とか、「ブレザー」という曲もあるし。そのうちあっという間に季節が変わって、次は秋の曲とか。食べ物の名前とか虫の名前とか、そういうので今日はこれという風にできたら面白いなと思ってます。

これは、僕がやりたかったことなんですよ。でも、なかなかライヴではできないから。イベントじゃできないし、ワンマンツアーではそんなにセットリストをころころ変えるとかできないし。オンラインでこういうタイミングだから面白くやれてるかなと思います。そういう意味でも充実してますよね。

■感染の状況は悪くなってますけど、音楽を続けていくうえでそんなに焦ってないというか、絶望してないというか。
音楽をやることに関してはいくらだって方法はありますよね。ファンの子の気持ちが満たされるかはわからないけど、自分たちの音楽をやりたいという気持ちは満たしていかないと。こんなにツールが溢れてるんだから、やれることはいっぱいありますよね。こういう期間に培ったものが、いつかいいアウトプットにつながるんだと思いますよ。経済的なことはわかんないけど(苦笑)。でもそれも、みんな一緒だから。俺たちが金がなくてダメだって言っちゃダメでしょ、そういう商売じゃないんだから。金がなくても楽しいぜって言ってないとね(笑)。

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ライター・村山幸が、「好き!」なバンド、ダンサー、詩人、歌人、画家などなどのインタビューをお届けします。 カルチャー・マガジン『アプレゲール』も発行中。通信販売はこちらhttp://apresmagazin.buyshop.jp/

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