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コムニ  4

何日歩いただろうか。

ビル骸に生態を成している特殊な動植物に寄り添い、休みながら、じゃりつく歩みをつづけた。
地図を持たず行き先もあいまいながら、いつしか最初に思い描いたひかり背負うあのひとの影だけが、たしかな道の指針となっていた。

そしてもうひとつ、見上げる星々の地図がこの宇宙における場を示してくれ、こころを保つことができた。いつだっただろう、高い樹頭から顔を出し、アニに初めて星々を見せてもらったときの衝撃を思い出していた。身近にあった樹海の世界とあまりに真逆だったからだ。アニにはたくさん天のことを教わったものだ。

天の星々のその先、おなじようで違う、折り重り整然と並んだ別の星の集まりが見えたと思った。

その光景は人間が創り出した地上の' オーダーされた星団 ' だとやっと分かったのは、それからさらに歩んだ後だった。

なにか新天地に、目指していた世界へついにたどり着いたのだと、胸がなり響いていた。