見出し画像

「ももける」という言葉について考えてみた

皆さんは「ももける」という言葉、聞いたことがありますか。
洋服が毛羽立ったり、毛玉ができたりすることを指すようです。
冬になると、私の周りでよく耳にする言葉ですが、語源は何なのか、漢字があるのか、毎年気になっています🤔
そこで、少し調べてみました。

「ももける」とは

「ももける」の意味は

『日本国語大辞典』によると、江戸時代後期に出版された辞書『詞葉新雅(しようしんが)』に
「モモケル あつごゆる 源菜きばみあつごえる紙云々」
と記載されているそうです。

ちなみに「あつごゆる」「あつごえる」とは、

あつ‐ご・ゆ【厚肥ゆ】
[動ヤ下二]厚くふくらむ。厚ぼったくなる。

デジタル大辞泉

どうやら紙などが厚ぼったく、毛羽立つ様を指すようです。

漢字で書くと…

では、漢字で書くとどうなるのか。
「ももける」という言葉を考える時、「もも−ける」となりそうです。

「もも」を漢字を書くとすると、
・桃
一番に思いつくのはこれ

・腿、股
膝から上の腰に続く部分

・百(百々)
私は人名でしか見たことがありません。苗字で百々(もも)さん、安藤百福(ももふく)さんとか

次に「ける」。
こちらは「蹴る」しか出てきません。桃蹴る?腿蹴る?意味が分かりませんね。笑
そこで、毛羽立つという意味から推測して「毛(け)」の可能性もあるかも、と。

もう少し調べてみると、
同じく江戸時代後期に記された『当世廓中掃除(とうせいかくちゅうそうじ)』に、
「綿の頰冠の桃毛たの」とあるという記載を見つけました。
ついに漢字が当てられました!

頬冠は今で言う頬被り、頭に被る手拭いやスカーフのようなものでしょう。
綿の頰被りが桃毛た(=毛羽立ってしまった)という記述だと思われます。

では、なぜ「桃毛た」という字なのか。
それについては書かれていなかったので、ここからは私の推測です。

桃といえば、表面に細かい産毛のようなものがあります。正式には「毛じ(もうじ)」といい、陽射しや乾燥などから果実を保護する役目があるようですが、このビッシリ毛が生えた様子が、和紙や布などが毛羽立った状態に似てなくもない…ような。
そこから毛羽立つことを「ももけ(桃毛)る」と言うようになったのではないでしょうか。

使う地域は

調べてみると、滋賀や大阪、兵庫、岡山などの一部地域で使われている言葉のようです。
でも、人の移動に伴って、言葉も伝わっていくことはあります。他にも「ももける」を使う地域はあるかも知れませんね。

ちなみに、兵庫県出身の私は「ももける」は聞いたことはありませんでしたが、毛羽立った状態のことを「もけもけ」と言っています。
ここまで調べたことを踏まえると、「もけもけ」は「ももける」から変化した言葉のような気がします。
いずれにしても、毛羽立つよりも、ももけるもけもけのほうが響きがかわいいなーと思っています。
皆さんは毛羽立つことを何と表現しますか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?