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君の知らない君の詩

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自作。思い入れのある、手紙のような詩。 マガジンのタイトルは、ASKAさんのアルバム名のもじりです。
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2021年8月の記事一覧

向こう側

向こう側

この峠を越えたら きれいな朝焼けが見えるんだって

峠を越えるために歩いているんじゃなくて

それを見るためだけに 先を目指して歩いている

めいっぱい たくさんのきれいなものを見て

君に教えるんだ

もしも 峠の向こうで君が待っていなかったとしても

僕は信じて いきたい

向こう側の きれいな景色を

君と分かち合うんだって

花を追う

花を追う

私はいつも 春を待っている──

幻想の中の 春の香りを鼻先で追っている

それは不確かで

或いは 二度とこの手に帰らぬもの

人は

春を待て そこに幸はあらん と言うが

既に春は行き過ぎ

夏が来て

また同じ季節が来ようとしている

決して二度と帰らぬ季節を待ち焦がれている

生きることは 繰り返すこと

中心で円を描く 神の気まぐれ

それでもきっと 追いついてみせるさ

君よ

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